外国への労働派遣に関する政府令、在外労働者支援基金への拠出義務付け

(ラオス)

ビエンチャン発

2020年10月20日

ラオス政府は5月22日付で「ラオス人労働者の外国への労働派遣に関する政府令(No.245/GOV)」を発布し、9月28日付の電子官報に掲載した(注)。この政府令は外国での労働や技能実習に係るラオス人労働者と送り出し機関の条件や権利、義務を詳細に定めている。

送り出しを受ける労働者の必須条件として、18歳以上の健康で刑事判決を受けていないラオスに居住するラオス国籍保有者であること、自発的に渡航を希望し、労働契約を有していることとしている(第9条)。禁止される職種としては、売春などや健康、生命に危険な職業(化学薬品、爆発物の取り扱い業務、基準を超える騒音への暴露、小型船舶による漁労など)を規定した(第19条)。

政府令で最も留意すべきポイントとしては、第11条、第15条で労働者および送り出し機関は労働法に従い在外労働者支援基金へ拠出することを義務付けた点だ。在外労働者支援基金は労働法で規定する労働基金(第135条)と同一の基金を指すと考えられるが、労働法第137条3項で在外労働者は1カ月分の給与もしくは賃金の5%相当の拠出が義務付けられている。ジェトロが10月13日に労働社会福祉省労働監督局へ確認したところ、同基金についてはガイドラインを現在作成中で、支払いや運用の開始にはしばらく時間を要する見通しとの回答を得た。本基金の詳細や実施時期については引き続き注意が必要だ。

なお、日本への技能実習生派遣については、ラオスの民間19社が認定送り出し機関として認定されている。2国間協定に基づくラオス人の外国への労働や技能実習派遣は、労働社会福祉省の労働統計によると、2019年ではタイに5万3,764人、韓国190人、日本137人だった。また、日本の法務省在留外国人統計によると、2019年末時点のラオスから日本への技能実習生(技能実習1号イ~技能実習3号ロ)は555人いる。

(注)ラオス語原文は官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。第34条で官報掲載の15日後から施行と規定していることから、10月13日から施行となる。

(山田健一郎)

(ラオス)

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