鳥取県産のナシ、Eコマースなどでフィリピンの富裕層に販売
(フィリピン、鳥取、東京)
マニラ発
2020年10月20日
日本農業(2016年設立、本社:東京都)がフィリピンへ輸出した鳥取県産ナシの販売が9月末から開始された。品種は「二十世紀梨」で、フィリピンの富裕層への直接販売やフルーツ専門のEコマースサイトに加え、高級スーパーマーケット4店舗でも販売されている。
同社はもともと2019年からフィリピンのスーパーマーケットなどで、青森県産のリンゴを販売してきた(2019年12月5日記事参照)。自社農園に加え、契約農家や地元市場から仕入れた日本産のリンゴを自社ブランド「Essence」として、フィリピンのほか、タイ、インドネシアなどに輸出販売している。今回は従来のリンゴに加え、富裕層の拡大が見込まれるとして、フィリピンでナシの販売を開始した。
日本からフィリピンに輸出できる青果物は現在、植物検疫の条件が整備されたリンゴとナシ(HSコード0808)のみだ。フィリピンへのナシ(HSコード080830)の2018年と2019年の上位4カ国の国別輸入額(添付資料表参照)をみると、ほとんどが中国からの輸入だ。日本産のナシは他国産より高額なため、富裕層向けに少量が販売されてきた。
日本農業によると、鳥取県の二十世紀梨は、中国や韓国産のナシと比較してみずみずしく甘味があるのが特徴だ。販売開始から2週間で300ケース約3,000キログラムを完売した。売り上げの約7割が富裕層への直販、約2割が富裕層向けのフルーツ専門のEコマースサイトでの販売だったという。同社海外営業部カントリーマーネジャーの多々良大吾氏によると、「日本産のフルーツを愛好する富裕層は確実に増えており、ナシも売れると昨年から考えていた。ただし、ナシのスーパーマーケットでの販売価格は180ペソで(約396円、1ペソ=約2.2円)、昨年のリンゴのスーパーマーケットでの販売価格125ペソよりも高い。そのため、リンゴのようにスーパーマーケットでの販売ではなく、富裕層への直販や富裕層向けフルーツ専門のEコマースサイトを販売先のターゲットとした」という。
多々良氏は「新型コロナウイルスの影響で、高級スーパーマーケットでは賞味期限の長い食品や生活必需品の購入が優先され、日本産のリンゴやナシを含む高価格帯商品の市況に予測がつかない状況。そのため、外出を控える富裕層が使用するEコマースサイトでの販売を拡大していく」と語った。
(石見彩)
(フィリピン、鳥取、東京)
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