欧州化学業界、「化学品戦略」は具体性を欠くと不満表明

(EU)

ブリュッセル発

2020年10月19日

欧州化学工業連盟(Cefic)は10月14日、欧州委員会が同日発表した「化学品戦略」(2020年10月16日記事参照)について、「歓迎する」としながらも、欧州の化学品業界の成長や大規模投資を促すものではなく、今後の規制や「欧州グリーン・ディール」の実現への向けての道筋や、EUが化学品規制においてどのように世界を主導していくのかについて、具体性が欠けていると不満を示す声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。

化学品業界に特化した「行動計画」の策定求める

Ceficはまず、化学品戦略の影響評価やそれぞれの措置に一貫性を持たせるには、さらに協調的なアプローチが必要だとし、EUは「欧州グリーン・ディール」と同戦略の実現において欧州の化学品業界が果たす役割の重要性を認識しながらも、業界のイノベーションや持続可能性に向けた大規模な投資を促す野心に欠けるとした。一方で、人体や環境に悪影響を与える可能性のある化学品の代替品の開発などを通じて、化学品の持続性を高めることを推奨する、輸入品に対するEUのREACH規則の適用強化など、Ceficがかねて要望していた点が同戦略で提案されたことは評価した。その上で、有害物質の規制とグリーン・ディールの実現に必要な技術の開発との間でバランスを取ることが必要だと指摘した。

また、欧州委が国際的な化学品規制についてEUがリーダーシップを取るという決意を示したことは歓迎しながらも、貿易や単一市場、イノベーション政策と一貫性があるものでなければならないとした。また、REACH規則の大幅な改正に反対する姿勢を示し、今回の戦略の提案などについて、具体的で厳密な影響評価を行うことが重要だとした。

最後に、化学品戦略で掲げられた目標の達成や、水素や化学品リサイクル分野など特定分野への投資を促すための化学品業界を対象とした「行動計画」が必要だと訴え、関連業界も含めて関係者間のさらなる対話に参加する用意があるとした。

(滝澤祥子)

(EU)

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