メキシコのスタートアップで初のユニコーン企業誕生

(メキシコ)

メキシコ発

2020年10月05日

中古車売買のオンラインプラットフォームを運営するメキシコのスタートアップ企業のカバック(Kavak)は9月30日、企業価値が11億5,000万ドルに到達したと発表した。メキシコのスタートアップで初のユニコーン企業が誕生した。カバックは、カルロス・ガルシア・オタッティ氏が2016年にメキシコ市で創業した企業で、同社のサービスに登録したユーザーがカバックのプラットフォーム上で中古車売買を行える事業を展開している。同氏はプレスリリースで「われわれの偉業はメキシコのスタートアップ界に重要な意味をもたらした。ただし、カバックのサービスをより向上させ、さらなる顧客満足につなげていかなければならない」と意気込みを語った。

メキシコでは、1982年創業のソフテック(Softtek)と2002年創業のキオ・ネットワークス(KIO Networks)が過去に企業価値10億ドルを突破しているが、両社とも創業から10年以上経ってからの10億ドル到達のため、スタートアップとしてユニコーン企業となったのはカバックが初となる。

カバックには、創業時からベンチャーキャピタルによる大規模な出資が行われてきた。マウンテン・ナスカ、JDパワーズ&アソシエイツ、トレサリア・キャピタルが2016年と2017年に、ソフトバンク・グループが2019年に出資した(2019年10月28日記事参照)(注)。それぞれの正確な出資額は公表されていないが、ソフトバンク・グループについては、5,000万ドルと推定されている(「エル・エコノミスタ」紙10月1日)。

なお、カバックは2020年8月にアルゼンチンでオンライン中古車販売を手がけるチェッカーズ(Checkars)を買収するかたちで進出すると発表しており、同社は今後も中南米の市場を拡大する方針を示している(2020年8月28日記事参照)。

(注)カバックは、ソフトバンク・グループのメキシコにおける投資の2例目(2019年10月)。1例目は2019年5月のクリップ(Clip)、3例目は同年12月のコンフィオ(Confío)(2019年12月6日記事参照)、4例目は2020年1月のアルファ・クレジット(AlphaCredit)(2020年2月10日記事参照)。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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