ソフトバンク・グループがメキシコのフィンテック企業に1億ドルの投資

(メキシコ)

メキシコ発

2019年12月06日

メキシコのフィンテック企業コンフィオ(Konfío)は、ソフトバンク・グループ(SG)を通じて1億ドルを調達したと発表した(12月4日付プレスリリース)。コンフィオ創設初期の投資家はQEDインベスターズ(米国)、カゼック・ベンチャーズ(Kaszek Ventures、ブラジル)、ボストック・エマージング・ファイナンス(Vostok Emerging Finance、スウェーデン)だったが、2019年だけで9月にゴールドマン・サックス(米国)から1億ドル、ビクトリー・パーク・キャピタル・アドバイザーズ(Victory Park Capital Advisors、米国)から1億5,000万ドルを調達しており、急激に資本を拡大している。SGの投資額を含めると4億ドルを超えた。

中小零細企業への素早い融資がメリット

コンフィオは、2013年4月にダビ・アラナ氏とフランシスコ・パディージャ氏が設立した中小零細企業向けに貸し付けを行うスタートアップで、現在のところ約3万社が利用している。1社当たりの融資可能額は、企業規模と成長性によって判断され、10万ペソ(約56万円、1ペソ=約5.6円)から1,500万ペソまで。1社当たりの平均貸付額は23万5,000ペソで、メキシコの大手銀行の平均貸付額(約4万ドル)よりは低いものの(「アントレプレナー」電子版12月3日)、ユーザーへの要件は銀行口座と連邦納税者登録番号(Registro Federal de Contribuyentes:RFC)を保有し、電子請求書(CFDI)を発行できることのみで、比較的に容易にクリアすることができる。また審査は、24時間で終了するというスピード感もスタートアップ企業などから好評だ。コンフィオのグレゴリオ・トマッシ投資家関連部長は「メキシコの中小零細企業が抱える最も大きな課題は資金調達だ。コンフィオの技術や人工知能(AI)、データリソースを用いて支援する体制をこれからも拡大したい」と述べた(「ブルームバーグ」電子版12月3日)。

ソフトバンク・グループのメキシコ企業への投資は3例目

SGはこれまで、2019年5月にスマートフォン決済サービスを手掛けるクリップ(Clip)、10月にオンライン中古車販売プラットフォーマーのカバック(Kavak)に投資することを公表しており(2019年10月28日記事参照)、コンフィオは3例目だ。ソフトバンクは、同社系ファンドを通じた中南米のイノベーション企業への投資が多く、投資額は100万~1億ドルと幅広い。

写真 ソフトバンクによる投資を発表したコンフィオ(コンフィオ提供)

ソフトバンクによる投資を発表したコンフィオ(コンフィオ提供)

(志賀大祐)

(メキシコ)

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