米ハワイ州、事前検査プログラムに日本を追加へ、米国外では初
(米国)
ロサンゼルス発
2020年10月16日
米国ハワイ州は10月14日、事前検査プログラムの検査対象として、米国以外では初めて、日本の厚生労働省が認定した新型コロナウイルス感染症の核酸増幅検査(NAAT:Nucleic acid amplification testing)を認めると発表した。現在、ハワイ州は、日本からの渡航者に到着後14日間の自主隔離を求めている。日本向けに上記プログラムが開始されれば、渡航者は日本出発前72時間以内に、同州が指定する日本国内の医療機関でNAAT検査を受け、陰性証明書を発行してもらい、ハワイ入境時に提示することで、到着後の自主隔離が免除される。
ハワイ州は、日本のさまざまな医療機関と協議を重ねており、パートナーとなる医療機関が決まり次第、日本向けの同プログラムを開始する予定。それまでは、引き続き14日間の自主隔離が求められる。同州は、日本政府と協力しながら、同プログラムの充実を図り、日本からの旅行者がハワイへ渡航しやすい環境を整備していくとしている。
今回の発表について、現地の日系企業は「ワクチンや治療薬が安定供給されるまでは、段階的な観光再開となる」との認識を示しつつも、「日本からの観光再開に向けた大きな一歩になった」と歓迎し、「既に多くのレストランやショップが撤退している状況で、雇用面も含め観光再開には大きな期待がかかっている」と述べた。また、日本帰国後14日間の自主隔離が求められる現状を指摘し、日本政府に対し、「日本帰国後の自主隔離の緩和に、最も優先して取り組んでいただきたい」と語った。
ホノルル郡以外では到着後の再検査を実施
米国本土からの渡航者に対する事前検査プログラム(2020年9月28日記事参照)は、予定どおり10月15日から開始された(注)。
事前検査プログラムをめぐっては、一部の郡の首長が、渡航前の検査だけでは島民の安全を確保できないと批判し、同州到着後の再検査実施に関して議論が続いていた。こうした議論を経て、同州は同プログラム対象者に対する再検査を各郡に認め、ハワイ郡は、同プログラムが適用される全ての渡航者に同島到着後に抗原検査を行い、マウイ郡とカウアイ郡は、到着3日後に任意の検査を行うこととしている。また、ホノルル郡については、到着後の再検査を実施しないが、将来的な再検査の実施を検討する予定。
また同州は、こうした郡の再検査とは別に、同プログラムを補完する目的として、対象者のうち10%を無作為で抽出し、到着4日後に任意の検査を実施する。同州のジョシュ・グリーン副知事は、検査実施によって「同プログラムの安全性を高める」と述べている。
(注)ハワイ州への渡航者が同プログラムの適用を受けるためには、専用サイト(Safe Travels)に同州が指定する検査機関の陰性証明をアップロードする必要がある。現時点での検査実施機関は米国薬局大手のCVSや米国健康保険大手のカイザー・パーマネンテ(Kaiser Permanente)など11社としている。
(永田光)
(米国)
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