5カ月連続の貿易黒字、経済回復に期待
(インドネシア)
ジャカルタ発
2020年10月23日
インドネシア中央統計庁(BPS)は10月15日、2020年9月の貿易統計を発表した。発表によると、輸出は前月比7.0%増の140億840万ドル、輸入は前月比7.7%増の115億7, 090万ドルと、輸出入ともに増加した。貿易収支は、前月比3.6%増の24億3,750万ドルとなり、5カ月連続の貿易黒字になった。また、1~9月の輸出入は前年同期比でともに減少したものの、貿易収支は135億1,370万ドルの黒字だった。
品目別の輸出額は、石油・ガスと非石油・ガスでそれぞれ前月比17.4%増、6.5%増だった。非石油・ガスでは、動植物性油脂(13.1%増)、鉄鋼(32.5%増)、電気・電子部品(7.1%増)などが増加した。セクター別では、野菜の輸出が増加したことにより、農産物の輸出が20.8%増加した。10月20日付の「ジャカルタ・ポスト」紙によると、2020年1月〜9月でみても農産物の輸出は好調で、輸出先国によっては3倍超増加している国もある。
輸入額も、前月比で増加した。非石油・ガスの輸入額は、前月より6億530万ドル(6.2%)増加した。最も増加したのは機械・機械器具(1億4,020万ドル増)で、鉄鋼(8,440万ドル増)、電気機械・器具(8,150万ドル増)が続く。10月19日付の「コンパス」紙によると、産業用の電気オーブンや船・タンカーの輸入増が大きな要因になっており、今後、製造業だけでなく、海上輸送セクターの回復も期待される。
非石油・ガスの相手国別の輸出額は、中国が26億2,800万ドル(前月比6.6%増)、米国16億8,730万ドル(4.1%増)、日本10億6,120万ドル(8.1%増)となった。上位3カ国は前月と変わらわなかった。相手国別の輸入額は、前月に続き中国が4.4%増の35億720万ドルで首位だった。日本からの輸入は37.3%増の7億6,730万ドルとなり、中国に次ぐ輸入相手国になった。
1~9月の貿易収支では、中国との間では77億8,330万ドルの赤字だが、前年同期比で赤字幅は縮小した。一方、米国との貿易収支は、主要国間では最も大きい79億2,650万ドルの黒字だった。
海外からの需要の復調で、経済回復に期待感
マンディリ銀行のチーフエコノミスト、アンドリー・アスモロ氏は「各国での新型コロナウイルスに関する制限の緩和により、インドネシアの主要輸出相手国からの需要状況が改善してきている」と分析する(「ジャカルタ・ポスト」紙10月16日)。アグス・スパルマント商業相は今回の発表を受け、「国内経済回復の兆しがある」とし、「原材料・副資材および資本財の輸入増加は、国内産業が回復傾向にある表れで、今後の輸出増加に寄与することが予想される」と期待を示した。(「コンパス」紙10月19日)
一方、バンクセントラルアジア(BCA)エコノミストのデイビッド・スムアル氏は、景気回復への兆候がみられるとしつつも、「第4四半期の景気回復の見通しは、新型コロナウイルスの動向に大きく左右されるだろう」との見方を示している(「ジャカルタ・ポスト」紙10月16日)。
(デシー・トリスナワティ、尾﨑航)
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