ホーチミン市都市鉄道1号線、最初の車両到着

(ベトナム)

ホーチミン発

2020年10月21日

ベトナムのホーチミン市は10月13日、鉄道建設プロジェクトを進めている都市鉄道1号線(ベンタイン~スオイティエン間)で使用する最初の車両到着を祝う記念式典を開催した。式典には、市共産党委員会のグエン・ティエン・ニャン書記、市人民委員会のグエン・タイン・フォン委員長のほか、山田滝雄駐ベトナム大使らが出席した。

鉄道プロジェクトは国際協力機構(JICA)が実施する円借款事業の1つ。同市の急速な人口増加に伴って交通渋滞や大気汚染が深刻化する中、道路整備やバス活用のみでは限界があることから、都市鉄道の建設により状況を改善し、地方経済の発展を図ることを目的としたもの。同市で実施している交通インフラ整備に関する事業の中で、都市鉄道は優先事業の1つとして選定されている(2020年7月6日記事参照)。

今回到着したのは3台の車両で、日立製作所が日本で製造し、10月8日にホーチミン市4区のカイホイ港に到着した後、翌9日に9区のロンビン車両基地(デポ)に移送された。今後、デポ内で各種の検査を実施し、2021年第3四半期(7~9月)にデポからビンタイ駅(トゥドゥック区)までの走行試験を行う。その後、路線全体の走行試験の前に電気システムや信号システムの試験運用をし、同年第4四半期(10~12月)にはデポからタンチャン駅(ビンタイン区)までの試験運転を行う予定。

式典で都市鉄道管理局のブイ・スアン・クオン局長は「今回の車両の到着・移送は、プロジェクトが建設段階から運用段階に移行する重要なマイルストーンになる」と述べた。

市によると、現在、路線全体のうち77%の建設が完了している。2021年末に予定している開業に向けては、JICAの協力を受けて7月から同市初の鉄道運転士講習(注)を開始するなど、ハード面だけでなくソフト面でのサポートも行われており、本格運行に向けて準備が進んでいる。

写真 到着した車両(左写真)と車両内部(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

到着した車両(左写真)と車両内部(ホーチミン市都市鉄道管理局提供)

(注)講習では、鉄道学校で約1年の授業を受け、その後、実技訓練や国家試験を経て、運転士として業務に当たることとなる。

(阿部浩明)

(ベトナム)

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