経済再開の最終段階「第3段階」へのロードマップ近く発表

(シンガポール)

シンガポール発

2020年10月08日

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相兼経済政策調整相は10月5日、新型コロナウイルスに関する向こう6カ月の政策を展望する国会での演説で、政府タスクフォースが今後数週間中にも、経済活動再開の最終段階である「第3段階(フェーズ3)」に向けたロードマップ(行程表)を発表することを明らかにした。

同国では、新型コロナウイルス感染防止のため、4月7日から6月1日まで必須サービスを除く部分的ロックダウン「サーキットブレーカー」が実施された後、6月2日から3段階で経済活動を再開している。6月19日からは、「第2段階(フェーズ2)」の段階にあり、9月28日からは職場で勤務可能な人数を緩和するなど(2020年9月28日記事参照)、感染防止を目的とした規制を解除しつつある。

ヘン副首相によると、政府タスクフォースは第3段階での経済活動再開に向けた行程表を明らかにするとともに、私的な集会について5人までとしている人数制限の緩和や、大型イベントの人数上限の引き上げなどを行う見通しだ。第3段階は、新型コロナウイルスのワクチン、または治療薬が見つかるまでの経済再開の最終段階(ニューノーマル)と位置付けられている。

ヘン副首相は演説で、今後、安全に経済を再開するための戦略として、(1)安全で効果的なワクチンの早期確保、(2)PCR検査能力の拡大、(3)迅速な追跡検査と感染者の隔離、(4)安全管理対策の順守、の4つを挙げた。同国政府は早い段階から、新型コロナウイルスのワクチンを共同購入する仕組み「COVAXファシリティ」を支持している。また、同副首相は、製薬会社数社とワクチン調達の話し合いを進めているほか、国内でのワクチン製造能力の確保に取り組んでいると説明した。さらに、同副首相はPCR検査能力について、目標としていた1日当たり4万件はほぼ達成の段階にあると述べた。

同国で10月5日に確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は7人で、累計感染者が5万7,819人(うち5万7,597人が回復、死亡が27人)となった。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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