業務用ドローンの登録台数は3年で5倍超に急増

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年10月05日

ムンドジェオ(MundoGeo)(注)主催の「ドローンビジネスフォーラム(第9回)」が9月1日、オンラインで開催された。同フォーラムは、ブラジルにおけるドローン分野で最大規模の見本市「ドローンショー」において開催されたもの。フォーラムでは、ドローン分野の最新動向および政府による規制などについて講演が行われた。国家民間航空庁(ANAC)、航空交通管理局(DECEA)、国防省などの政府職員が参加し、同分野に詳しい弁護士や民間企業が登壇した。登壇者は、業務用ドローンの活用が近年著しく増加していることを踏まえ、「ドローンの活用に関する法規制を整備していく必要がある」と述べた。

ANACによれば、ドローンの登録制度が開始された2017年6月時点では、1万3,256台のドローンが登録され、そのうち業務用は5,375台だったという。それが、2020年8月には、全登録台数7万7,448台のうち業務用ドローンは2万9,930台に急増した(添付資料図参照)。業務用の用途としては主に、農業用、特に農薬散布向けだ。農業用ドローンの登録台数は2018年の登録時点では161台だったが、2019年には617台、2020年9月時点では1,310台と増加している。9月1日付の現地紙「バロール」によると、ドローンで実現できる効率的かつ精密な農薬散布の利用が拡大しているという。

一方で、同フォーラムでは、違法にドローンを利用するケースが非常に多いことを問題視し、ユーザー側に規制の順守を働き掛けると同時に、ドローンメーカーにも重要な役割がある、と指摘された。現在、業務用ドローンの使用については、航空機と操縦者の資格はANAC、空域の使用はDECEA、電波の送受信は電気通信庁(ANATEL)により規定されている。

難易度の高い飛行(目視外、120メートル以上の上空、25キログラム以上の最大離陸重量など)の場合、メーカー自身がドローンの設計書をANACに申請し、認証・許可を受ける必要がある。認証を取得するための評価基準は厳しく、ANACに登録されているドローン総数の85%強(業務用ドローン数の90%強)を占める海外大手ドローンメーカーでさえ、この認証を得られていない。高度な機能が搭載されたドローンが認証を取得し、活用に至るケースは少ない。ムンドジェオのエメルソン・グラネマン最高経営責任者は、ANACの厳しい審査を突破できれば「競合他社に対して有利なビジネス戦略を展開でき、ブラジル市場での業績拡大につながる可能性が高い」と述べた。

サンパウロ州政府も、農業用ドローンの活用に着目しており、2020年7月に同州のグスターボ・ジュンケイラ農業・畜産・供給局長は、同州独自の規制を設けることを目的に「専門家団体を結成する」と発表している。ブラジル航空宇宙工業協会(AIAB)やブラジル機械機器工業会(ABIMAQ)などもドローンの活用に関心を寄せている。

(注)ムンドジェオは、ドローン、街づくり、環境、精密農業の発展のため、技術者をつなげるイベントを開催している団体。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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