スギヤス、EPA活用効果を実感、今後も積極的なEPA活用を模索

(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア、日本)

アジア大洋州課

2020年10月21日

1949年に創業したスギヤス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(愛知県高浜市)は、自動車整備用リフトの「ビシャモン」ブランドを中心とした機器メーカーで、自動車整備用リフトで国内シェアの6割を有するリーディングカンパニーだ。自動車整備用リフト以外にも、物流機器事業などにも取り組んでいる。同社は海外展開にも積極的で、設立以後45カ国への輸出実績がある。ジェトロは8月20日、同社海外事業部の橋本健太郎氏、中山佳成氏に、海外ビジネス展開と経済連携協定(EPA)の利用状況をヒアリングした。

中山氏によると、同社は2011年ごろからEPAの手続きを開始した。取引先(輸入者)の要請に応えるため、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンとの2国間EPA、カンボジアとの取引で日・ASEAN包括的経済連携協定などのEPA利用実績がある。原産地証明書の発給に当たっては、海外事業部が部品サプライヤーへの資料請求、日本商工会議所への書類申請などを一括して対応している。

主な輸出製品が自動車リフト、ハンドパレットトラックといった油圧性物流機器で、それぞれの製品に組み込まれる品目も類似であることから、EPA利用に必要なHSコードの特定などにも複雑な点がないという。また、EPA手続き開始当初の社内メンバーが作成したEPA手続きマニュアルが現在まで引き継がれていることで、比較的スムーズな処理ができているとのことだ。

関税削減を武器にさらなる海外展開を志向

EPA利用の一番のメリットは、輸入者側が受ける関税削減効果だ。スギヤスでは、各種EPA利用により、輸入者側が5~8%の関税削減メリットを享受している。その結果、海外の販売代理店からユーザーへの販売価格の引き下げが可能となっている。

現在、同社の輸出比率は10%前後だが、今後はEPAを営業戦略の一手とし、輸入者に対し、能動的に関税削減の効果を伝えることで、新規取引を増やす方針だ。また、さらに多くの国への輸出を実施すべく、日EU・EPAや環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)などの新たなEPAの利用も検討している。これらのEPAを利用するためには、従来とは異なり、自己申告制度による特定原産地証明書の発給が必須となるが、同社は今後、自社内で同制度への理解を深めると同時に、発給後の各種照会に対応できる体制を構築し、さらなる海外展開を目指す意向だ。

(谷口晃希)

(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、カンボジア、日本)

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