首相、デモ対応でバンコク都内に重大事態宣言を発令

(タイ)

バンコク発

2020年10月16日

タイのプラユット首相は10月15日未明、「バンコク都における重大事態宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発令し、同日早朝4時から適用した。同宣言によると、発令の理由として、バンコク都における違法集会により混乱と人民の不安が増大し、新型コロナウイルスへの対応を行う中、緊急的な措置を導入することが必要不可欠だったためとしている。なお、根拠となる2005年非常事態令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(ポイントは添付資料参照)は、事象に応じ、非常事態と重大事態の2つの段階を定めており、重大事態令はテロ、武器の使用、人命、人体、資産の危機、その他厳密な措置が必要と考えられる十分な背景がある場合に発動できることを定めている(第11条)。

また同日、同重大事態宣言に基づく具体的措置として、「2005年非常事態令第9条(規制の発動)および第11条(重大事態)に基づく決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、また緊急事態を引き起こした者らを逮捕する権限などを定めた、「2005年非常事態令第11条に基づく通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、それぞれ官報に掲載した。導入される措置は以下のとおり。

  • 第1条:5人以上の集会および不安を惹起(じゃっき)する活動の禁止
  • 第2条:人々の不安を惹起し、情報を誤操作し、非常事態令の誤った解釈を引き起こすような書籍・印刷物、その他電子的情報を含むあらゆるメディアによる情報発信の禁止
  • 第3条:重大事態令責任者が定める場所への道路、車両、交通機関などの方法での移動の禁止
  • 第4条:重大事態令責任者が定める建物、場所への侵入、占拠の禁止
  • 第5条:重大事態令責任者は、第1条から第4条までの措置を適用する条件および時間帯を定めることができる。

なお、現在適用されている、新型コロナウイルス対応にかかる非常事態令との関係では、8月1日以降の4回目の非常事態令の延長時に出された「決定第13号」(大使館和訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))の中で、集団での活動、集会に当たっての国民の権利行使を法令などに則する範囲で認めていた。今回、重大事態令が出されたことで、あらためてバンコク都内では当該措置を含む厳しい措置がとられることとなる。

(蒲田亮平、岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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