新型コロナによる困窮者への支援条件を緩和

(ベトナム)

アジア大洋州課

2020年10月30日

ベトナム政府は10月19日、政府議決154/NQ-CP(以下、議決154号)を公布し即日施行した。議決154号は、新型コロナウイルスによる困窮者への支援措置について定めた4月9日公布の政府議決42/NQ-CP(以下、議決42号)を修正・補足するもの。議決154号のポイントは以下のとおり。

1.休業中の給与の支払いのための借り入れ条件の緩和

議決42号では、休業中の給与の支払いのための無担保・無利子での借り入れ支援を定めているが、議決154号は対象条件を緩和した。具体的には、2020年第1四半期(1~3月)の売り上げが2019年第4四半期(10~12月)に比べて20%以上減少した雇用者、または直近の四半期の売り上げが前年同期比で20%以上減少した雇用者が対象となる。議決42号では、財政が困難な状態にあり、かつ、4月から6月の間に労働法98条第3項の規定(注1)に従い労働者に最低50%の休業中の給与を既に支払っていることが条件だった。

なお、条件に該当する雇用者は、4月から12月の実際に賃金を支払う期間で3カ月を超えない期間を対象に、労働法98条第3項の規定に従い休業中の賃金を支払うため、地域の最低賃金の50%を限度として、社会政策銀行から無担保・無利子で借入れを受けることができる。返済期限は最大12カ月。

2.社会保険料の納付の一時休止条件の緩和

議決42号では、労働者および雇用者に対する支援として社会保険料の納付の一時休止を定めているが、議決154号は対象条件を緩和した。具体的には、雇用者が新型コロナウイルスの影響を受け、社会保険に加入している労働者(注2)の20%以上を削減するに至った場合、労働者および雇用者は、社会保険のうち退職基金および遺族基金への納付の一時休止を受けることができる。議決42号では、50%の労働者を削減するに至った雇用者が対象だった。

ただし、一時休止の期間については、議決42号では12カ月を超えない期間としていたが、議決154号では適用申請書類を提出した時点から3カ月を超えない期間とした。

このほか、議決42号では、無給休暇などになった労働者に対する給付金の支給対象が企業の労働者のみとなっていたが、議決154号は教育機関の労働者にも拡大した。

(注1)雇用者と労働者の過失ではない電気や水に関する事故、天災、火災、危険な疫病、紛争、管轄機関の要求に基づく活動場所の移転といった客観的なその他の原因、または、経済的な理由による場合、休業時の賃金は両当事者の合意に基づくが、政府が定める地域の最低賃金を下回ってはならない。

(注2)休業中の労働者、労働契約の履行の一時停止の労働者、無休休暇に合意した労働者を含む。

(北嶋誠士)

(ベトナム)

ビジネス短信 36d2b1f71d4f43d9