ユミコア、環境負荷の低いゲルマニウム使用でプリズミアンと提携

(ベルギー)

ブリュッセル発

2020年10月30日

ベルギーの素材大手ユミコアは10月27日、イタリアの通信用ケーブル製造大手プリズミアン(本社:ミラノ)と、環境負荷の低いゲルマニウムを使用した光ファイバーケーブルを使用するためのパートナーシップを締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

光ファイバーケーブル技術は、デジタル化と脱炭素社会・経済の発展に向けたブロードバンドネットワークの構築に決定的な役割を担っており、両社はこのエネルギー転換の過程で重要な役割を果たしているとした上で、両社はこれまでも、光ファイバーケーブルを製造する際の主な原材料のゲルマニウムのリサイクルに向けて提携してきたが、今後、環境負荷の低いゲルマニウムの使用と供給を目的とした新たな段階で協力していくとしている。

ユミコアのピーター・アリックス営業部長は発表の中で、「ゲルマニウムのリサイクル能力とその可能性を最適化、拡大させ、卑金属生産の副産物(注)として生成されたゲルマニウムを供給することにより、(光ファイバーケーブルの製造における)年間の二酸化炭素(CO2)排出量をこれまでの60%、約6,800台分の内燃自動車の排気ガス相当を削減できる」とコメントした。

ユミコアは今回のパートナーシップ以外にも、宇宙太陽光発電システムのパネルセルなどを製造するドイツのAZUR SPACE Solar Power(本社:ハイルブロン)と提携し、宇宙太陽光発電システムの電池向けに、ゲルマニウム濃度が非常に低い廃棄物から高濃度のゲルマニウムを抽出する技術を提供し、ゲルマニウム供給の持続可能性をさらに高める開発を進めている。

(注)ゲルマニウムは、地殻に比較的多量に含まれるものの、薄く広く分布しているため、抽出が困難とされており、一般的には亜鉛鉱業あるいは石炭鉱業の副産物として得られる。

(大中登紀子)

(ベルギー)

ビジネス短信 3382f6e9832bd67a