シリコンバレー外で台頭する米有望スタートアップが日本企業にPR

(米国)

米州課

2020年10月14日

ジェトロは9月3日、在日米国大使館商務部と共催で、米国スタートアップによるオンラインピッチイベント「US Startups from Tech Hub Cities -Beyond Silicon Valley」を開催した。米国では、カリフォルニア州シリコンバレー以外にも、さまざま地域でスタートアップエコシステムが形成され、数多くの有望企業が台頭している。今回のピッチイベントには、そうしたシリコンバレー以外の都市・地域から、日本企業との協業を検討する、または将来、日本への進出を検討する企業9社が参加。自社技術・サービスの特長や日本で求めるパートナー像、日本市場への期待などを発信した。

米国発のアクセラレーター、プラグアンドプレイ・ジャパン(Plug and Play Japan)の推薦で参加した企業のうち、人工知能(AI)を活用した産業インフラの点検ロボット・ソフトウエアを開発するゲッコー・ロボティクス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Gecko Robotics、本社:ペンシルベニア州ピッツバーグ)は、既に複数の日本企業とサービス提供について話し合っているという。同社は、老朽化したインフラの修繕と人手不足がともに課題となっている日本で、自社の技術が最大限活用できると呼び掛けた。車載型の交通事故事前検知システムを開発するプリアクト・テクノロジーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(PreAct Technologies、オレゴン州ポートランド)は保険分野など自社技術の応用可能性の広さをアピールした。

米国大使館商務部の推薦で登壇したスプロウテル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Sproutel、ロードアイランド州プロビデンス) は、独自のデザイン思考に基づいた医療関連製品などの共同開発を専門とする。米国保険会社アフラックと開発した小児がん患者向けコミュニケーションロボット(アヒル型ロボット)が有名だ。在宅医療分野で、日本企業と連携した高齢者向け製品の開発に期待を寄せた。

米国アクセラレーターのテックスターズ(Techstars)が推薦した企業では、成層圏から地表データの収集が可能な「マイクロバルーン」を開発するアーバン・スカイ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(urban sky、コロラド州デンバー)は、自社製品の強みとしてコスト競争力や再利用可能な点などを挙げ、都市計画や農業分野など幅広い用途に活用できると説明した。日本企業からの投資の受け入れにも積極的という。また、ドローンを含むロボットの遠隔操作ソフトウエアプラットフォームを開発するブイローターズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(vRotors、カリフォルニア州ロサンゼルス)は、自社ソフトウエアの日本のロボット技術への導入や日本企業との研究開発に意欲を示した。

そのほか、今回のピッチイベントには、クラウドのセキュリティ対策を手掛けるセクベラス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Secberus、フロリダ州マイアミ)や、 バス業界向けのMaaS(注)を提供するラリー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Rally、ニューヨーク州ニューヨーク)、データ解析プラットフォームを提供するアナコンダ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Anaconda、テキサス州オースティン)、AIを活用した品質管理ネットワークプラットフォームを提供するインスぺクトリオ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Inspectorio、ミネソタ州ミネアポリス)が参加した。各企業の概要はジェトロウェブサイトPDFファイル(0.0B)参照。

各社のピッチに対して、参加した日本企業からは技術の仕様や日本企業との協業実績など具体的な質問が寄せられ、関心の高さがうかがわれた。

写真 ゲッコー・ロボティクスのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

ゲッコー・ロボティクスのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

写真 アーバン・スカイのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

アーバン・スカイのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

写真 ブイローターズのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

ブイローターズのオンラインピッチの様子(ジェトロ撮影)

(注)Mobility as a Serviceの略。出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段をシームレスに1つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念。

(甲斐野裕之)

(米国)

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