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英自動車業界、ノー・ディールの影響を試算、EUとのFTAを強く要求

(英国、EU)

ロンドン発

2020年10月27日

英国自動車製造販売者協会(SMMT)は10月22日にプレスリリースを発表、EU離脱の移行期間が終了する2020年12月31日までに自由貿易協定(FTA)が締結されない(ノー・ディール)場合、英国の自動車業界に対する関税の影響が大きいとして、あらためてEUとのFTA締結を強く要求した。なお、SMMTはノー・ディールについて、欧州自動車工業会(ACEA)などとともに9月14日にも声明を出している(2020年9月15日記事参照)。

SMMTによると、ノー・ディールの場合は乗用車に10%の関税が課され、英国とEUの間での完成車取引の年間コストは少なくとも45億ポンド(約6,165億円、1ポンド=約137円)増加し、英国で販売されるEU製の自動車の平均価格が1,900ポンド増加する。さらに、バッテリー電気自動車(BEV)では1台当たり2,800ポンドの増加と試算。英国の低排出車向けの購入補助金は3,000ポンドが上限のため、補助金が相殺される計算になる。関税による価格の上昇は、為替変動、国境での遅延、サプライチェーンの混乱の影響を考慮せずとも、2021年のBEV需要の増加を少なくとも20%低下させるリスクがあり、脱炭素化を加速させる取り組みの妨げとなる、とした。一方、英国からEUに輸出される英国製BEVの平均価格は2,000ポンド増加するとしており、英国の国際競争力を損ない、英国の製造投資先としての魅力も低下させる、とした。

SMMTは、野心的な環境目標を達成するには全てのゼロエミッション車に対して、完全な付加価値税(VAT)免除を含む、長期的な競争力のあるインセンティブが必要、と主張する。これにより、今後5年間で約140万台のBEVの売り上げが促進される可能性があり、2025年までの市場シェアは、現在の約5%に対し推定で16%となるとした。

また、英国のEV購入補助金が、欧州主要国からも後れをとっている点も指摘。ドイツでは、自動車購入者はバッテリー式電気自動車1台当たり最大8,160ポンドの購入インセンティブを得ることができ、フランスでは、6,350ポンドの助成金を得ることができる、とコメントした。

SMMTのマイク・ホーズ会長は「自動車業界は、最新の電気自動車の導入を促進するさなか、新型コロナウイルス感染拡大の第2波の影響とノー・ディールの可能性の、二重の打撃に直面している。ノー・ディールの結果として発生する関税は、英国のグリーン・リカバリーを遅らせ、温室効果ガス(GHG)の純排出ゼロ(注)に向けた進展を妨げ、英国産業の将来を脅かす。持続可能な未来を確保するため、政府は無関税を実現する野心的なFTAを追求することで、電気自動車技術への投資を促し、これにより、将来の自動車生産におけるバッテリーの重要性を認め、消費者に最新のゼロ・エミッションモデルの選択肢を提供しなくてはならない」と述べた。

(注)人間の活動によって排出される温室効果ガス(GHG)の量を、森林などで吸収されるレベルにまで抑えること。

(宮口祐貴)

(英国、EU)

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