賃金補助制度第2弾の申請受け付け開始、12月末まで

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年10月08日

マレーシアの社会保険機関(SOCSO)は10月1日から、新型コロナウイルスの影響により売り上げ減少に苦しむ企業への追加支援として、賃金補助制度第2弾(PSU2.0)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の申請受け付けを開始した。本制度の実施は、ムヒディン・ヤシン首相が9月23日に発表した「景気刺激策補足イニシアチブパッケージ(KITA PRIHATIN)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の3つの施策のうちの1つで、条件を満たせば外資系企業も利用できる制度だ。申請期間は12月31日までとなっているが、政府の財政状況によっては、同日より早く終了する可能性がある。

第1弾を利用した企業も申請が可能

賃金補助制度は、新型コロナウイルスの流行とそれに伴い発令された移動制限令(MCO)の影響により売り上げ減少に直面する企業に対して、従業員の賃金の一部を補助する制度で、2020年4月から9月にかけて第1弾が実施された。補助対象となるのは月給4,000リンギ(約10万円、1リンギ=約25円)以下のマレーシア従業員で、1社当たり最大200人までの補助を受けることができる。

PSU2.0の主な受給条件は、(1)社会保険料(SOCSO)および雇用保険(EIS)に拠出を行っている企業で、(2)回復移動制限令(RMCO)が発令された6月10日以降に、1カ月の売り上げが前年同月比で30%以上減少しており、(3)月給4,000リンギ以下の従業員を解雇しないこと、となっている。既に第1弾の制度において補助金を受領している企業でも、新たな条件を満たしていれば申請が可能だ。補助額は企業規模や条件を問わず一律1人当たり月600リンギで、第1弾を利用しているかどうかで、補助期間が異なる。第1弾利用企業は3カ月、今回初めて賃金補助制度を利用する企業は6カ月となる。申請は、専用のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからオンラインで行う。

賃金補助制度は、条件を満たせば外資系企業も利用できるため、売り上げ減少による資金繰り悪化に伴い、賃金の支払いに苦慮する日系企業の利用も多い。ジェトロとマレーシア日本人商工会議所(JACTIM)が7月に実施した「在マレーシア日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急アンケートPDFファイル(1.1MB)」では、回答企業205社のうち、約30%の企業が「賃金補助制度の拡充・延長」を求めており、今回の追加措置に歓迎の声も聞かれる。

マレーシア政府によると、PSU2.0には24億リンギを投入し、16万社・133万人の従業員に利益があるとしている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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