IMF、2020年のアジア大洋州主要国の財政収支は軒並み赤字を見込む
(世界、ASEAN、インド、バングラデシュ、パキスタン、オセアニア)
アジア大洋州課
2020年10月23日
IMFは、10月14日に公表した「2020年10月財政監視報告書」で、新型コロナウイルスによる世界的流行とそれに伴うロックダウンによって、2020年9月11日現在で11兆7,000億ドル、世界GDP比で12%近くの財政措置・対策が取られた結果、各国財政の赤字拡大を見込む。財政措置は、政府支出あるいは一時的な減税などの政府の財政政策と、公的部門による融資や保証、資本注入などの流動性支援から成る。
北東アジアを除くアジア大洋州地域において、政府の財政赤字に直接的に影響する財政政策については、ニュージーランドがGDP比19.5%、シンガポールが16.1%、オーストラリアが11.7%だった(添付資料表1参照)。これは世界の先進国平均の9.3%と比較しても大きく、アジア大洋州域内先進国は新型コロナウイルス対策のために積極的に財政政策を打ち出したといえる。他方、新興中所得国は世界平均の3.4%に対し、アジア大洋州域内はタイが8.2%と高いものの、インドネシア(2.7%)、フィリピン(2.3%)、パキスタン(2.0%)、インド(1.8%)は世界平均を下回っている。
財政支出の拡大は、財政赤字の拡大につながり、国家財政の信認喪失を通じた危機を招く可能性がある。IMFは同報告書で、2020年こそ世界における財政収支のGDPに占める比率が一時的に悪化するものの、2021年以降の比率は改善していくシナリオを描いている。アジア大洋州地域では、2020年についてはインドがマイナス13.1%と最も低い。比較的比率が高いタイでもマイナス5.2%と、2020年の財政収支は軒並み、赤字(マイナス)になると見込まれている(添付資料表2参照)。
(新田浩之)
(世界、ASEAN、インド、バングラデシュ、パキスタン、オセアニア)
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