EV登録台数、沿海地方が最多

(ロシア)

モスクワ発

2020年09月10日

自動車市場調査会社アフトスタトは8月30日、2020年7月1日時点のロシアにおける電気自動車(EV、注1)登録台数は7,925台(前年同時点比71.8%増)だったと発表した。日本に比べて約13分の1の規模だが(注2)、2016年以降、中古EVの登録が急増している。

連邦構成体別でみると、沿海地方が1,138台で最も多かった。これに、イルクーツク州(843台)、モスクワ市(672台)、クラスノダル地方(566台)、ハバロフスク地方(565台)が続いた。沿海地方のほかでは、極東地域で上位10位内にランクインしたのはアムール州のみだった(265台、8位)。

ブランド別では、日産(6,747台)、テスラ(457台)、三菱自動車(346台)、ジャガー(167台)や、地場ブランドのラーダ(96台)などが上位にランクインしている。車種別にみると、リーフ(日産)、モデル3/S/X(テスラ)、i-MiEV(三菱)、I-PACE(ジャガー)、エルラダ(ラーダ)などが多かった。

ロシアで登録されているEVの多くは中古車なため、日本からの中古車輸入が多い極東の連邦構成体が上位に入っている。アフトスタトによると、2020年1~6月のEV中古車販売台数は1,949台(前年同期比39.7%増)で、EV新車販売台数は121台(17.7%減)にとどまっている。

極東地域では、水力発電大手ルスギドロがEV用充電施設の整備を行っている。同社ウェブサイトによると、沿海地方のウラジオストクに7カ所、アルチョムに2カ所、ウスリースクに1カ所、アムール州のブラゴベシチェンスクに4カ所、ハバロフスクに1カ所の充電施設を設置している。なお、モスクワ市のウェブサイトによると、同市内には65カ所設置されている。

写真 モスクワ市内の充電施設(ジェトロ撮影)

モスクワ市内の充電施設(ジェトロ撮影)

写真 モスクワ市内で充電中のEV(ジェトロ撮影)

モスクワ市内で充電中のEV(ジェトロ撮影)

EV新車市場が伸び悩む中、地場スタートアップ企業のゼッタがEVの生産を計画している(2019年5月30日記事参照)。当初、2020年初めの生産開始を見込んでいたが、2021年の年明け以降にずれ込む予定だ。デニス・シチュロフスキー最高経営責任者はその理由として、政府が設立した産業振興ファンドの工業発展基金から融資を受けられていないことを挙げている。他方、基金は、EV生産の収益が担保され、かつ協調融資できるパートナーがいなければ融資は難しい、としている(「ベドモスチ」紙9月2日)。

(注1)ここでは、自動車のうち乗用車を指す。

(注2)日本の自動車検査登録情報協会によると、日本のEV乗用車保有台数(2019年3月末時点)は10万5,921台で、ロシアの登録台数はこの約13分の1にとどまる。

(タギール・フジヤトフ、浅元薫哉)

(ロシア)

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