サンティアゴの地下鉄、約1年ぶりに全面復旧

(チリ)

サンティアゴ発

2020年09月28日

チリで2019年10月の反政府デモから派生した過激派の暴力行為によって損傷した、サンティアゴの地下鉄が9月25日、全面的に復旧した。サンティアゴの地下鉄は全136駅のうち、118駅が破壊や放火による損害を受けた。チリ政府の発表によれば、設備の修復に要した金額は、総額で2億5,000万ドルに上る。単に損傷部分を修復するだけでなく、新たに駅の入り口に頑丈な金属製の扉の設置や、防犯カメラによる監視システムの配備、駅へ通じる歩道橋の素材に不燃物を使用することで放火対策を行うなど、安全基準を強化し再発防止に努めている。

設備の復旧が完了した一方で、新型コロナウイルスの影響から、地下鉄の利用者数は激減している。9月23日付「ラ・テルセラ」紙によれば、直近の1日当たり地下鉄利用者数は約80万人で、前年同期の3割未満の数値にとどまっている。

写真 反政府デモ以降に地下鉄駅に新設された金属製扉(ジェトロ撮影)

反政府デモ以降に地下鉄駅に新設された金属製扉(ジェトロ撮影)

写真 帰宅ラッシュの夕刻の時間帯にも閑散としている地下鉄駅の様子(ジェトロ撮影)

帰宅ラッシュの夕刻の時間帯にも閑散としている地下鉄駅の様子(ジェトロ撮影)

経済再開計画の一環として地下鉄3号線の拡張工事を開始

チリ政府は、新型コロナウイルスの影響により低迷する国内経済を回復させるため、経済再開計画(2020年8月7日記事参照)として、2020~2022年に340億ドル規模の公共投資を行うと発表しており、地下鉄3号線の拡張工事も同計画に内包されている。投資額は3億7,850万ドルで、新たに路線を3.8キロ延長し、3つの駅が新設される。工事終了は2023年を予定しており、完成すれば21万人以上の国民が恩恵を受ける、と政府は説明している。ほかにも、将来的な2、4号線の拡張や、7、8、9号線の新設が予定されており、住民の交通アクセスが改善されることが期待される。

(岡戸美澪)

(チリ)

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