米政府、10月13日から鉄鋼輸入の監視・分析システム、許可制度を刷新

(米国)

ニューヨーク発

2020年09月16日

米国商務省国際貿易局(ITA)は9月11日、鉄鋼輸入の監視・分析(SIMA)システムを刷新するとし、それに伴う最終規則を官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。新たなSIMAシステムと規則は10月13日から有効となる。

商務省のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、SIMAシステムが最後に刷新されたのは2005年。今回の刷新によってオンラインシステムも入れ替えることで、現代的なデータ分析を可能とし、米国への鉄鋼製品輸入の急増や迂回輸入などがないかを特定できるとしている。また、それに伴う規則変更の要点として次の4点を挙げている。

  1. 鉄鋼製品輸入許可の申請者に、製品の原産国のみならず、当該製品に利用された鉄鋼が鋳造された(注1)国も特定するよう求める。ただし、鉄鋼製造工程に利用する原材料(スクラップ、鉄鉱石、銑鉄、還元・加工またはペレット化された鉄鉱石、原料となる合金)は含まれない。
  2. 輸入許可が必要な鉄鋼製品の範囲を拡大し、1962年通商拡大法232条の追加関税対象の製品も含める(注2)。
  3. SIMAの制度を無期限に延長する。
  4. 特定の鉄鋼製品輸入に対する既存の低額輸入許可(low-value license)につき、対象となる製品単価(課税価格<Customs Value>)の上限を5,000ドルとする。同許可は一度の申請で何度でも利用できるもので、従来は250ドルが上限だった。

ITAは最終規則の施行に向けて、ウェビナーでの説明会を数回行う予定としている。ウェビナー参加は先着順で特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに順次、情報を掲載するとしている。なお、SIMAの既存のオンラインシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは10月9日まで有効で、同日以前に申請する輸入許可は従来の規則にのっとることになる。新たなオンラインシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと最終規則は10月13日から有効となり、移行期間の10月10~12日に許可申請を行う場合は、steel.license@trade.gov外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで緊急的に受け付けるとしている。

(注1)官報によると、USMCAの定義と同様であり、(1)原材料の鉄鋼が溶鉱炉で液状で生産され、(2)かつ最初の固形状に鋳造された場所となる。固形状には、半製品(スラブ、ビレット、インゴット)または製鋼所での完成品も含む。

(注2)ITAは現在、輸入許可が必要な鉄鋼製品を53のグループに分けているが、58に増やす。(1)「炭素・合金鋼のブルーム、ビレット、スラブ」のグループを、(i)スラブ(長方形の断面の幅が厚みの4倍を超えるもの)、(ii)その他の半製品に2分割する。加えて、(2)「ラインパイプ」のグループに、(i)直径16インチを超えるもの、(ii)同16インチ以下のもの、(iii)特定されないものの3つを追加。さらに(3)その他の鉄道、線路用付属品を追加。なお、輸入許可が必要な鉄鋼製品のHTSコードは商務省ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから確認できる。

(磯部真一)

(米国)

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