トランプ米大統領、農家向けに140億ドルの追加支援を発表

(米国)

シカゴ発

2020年09月24日

米国のドナルド・トランプ大統領は9月17日、ウィスコンシン州で開かれた選挙集会で、新型コロナウイルスの影響を受けた農家を対象とした追加支援策を発表した。トランプ大統領は演説の中で、「ウィスコンシン州の素晴らしい酪農家、クランベリーやチョウセンニンジンの生産者などの農家が新型コロナウイルスの影響から立ち直るのを手助けするために、来週から130億ドルの追加支援を開始する」と述べた。

トランプ大統領の発言の翌9月18日に、農務省は、農作物、畜産、酪農、養殖などの生産者を対象に、新型コロナウイルスに起因する損失を直接補償する総額140億ドルの追加支援プログラムを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。申請は9月21日から12月11日まで受け付ける。補助額は原則、1農家当たり最大25万ドルとなる。農務省は4月にも、「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)」などに基づき、農家向けに190億ドルの支援策を発表している。このうち160億ドルは農畜産業者の実損失額の直接補償に、30億ドルは農務省による野菜や畜産物などの買い上げに充てられた。今回の支援策は、これに追加するかたちで導入されたものといえる。

大統領選も意識した発表

ウィスコンシン州は、11月の大統領選挙で接戦が予想される州の1つだ。2016年の大統領選では、トランプ大統領は同州でヒラリー・クリントン氏に対し、0.8ポイントの僅差で勝利した。しかし、直近の同州での世論調査の平均支持率(注1)では、トランプ大統領は6.9ポイント差で民主党候補のジョー・バイデン前副大統領にリードされている。今回の発表は、ウィスコンシン州の主要産業である酪農・農業従事者にアピールすることで、農村地域での支持基盤を固め、選挙戦での追い上げを狙ったものとみられる。

なお、天候・農業・商品市場の情報分析を行うDTNプログレッシブファーマーが8月に全米の農業従事者を対象に行った調査(注2)では、「大統領選挙でトランプ氏に投票する」との回答は71%で、4月調査の89%から20ポイント近く減少している。

(注1)リアル・クリア・ポリティクスによる集計。9月2~20日の各種世論調査結果の平均値。

(注2)対象は全米の500人以上の農業従事者。調査期間は8月6~14日。

(大土萌子)

(米国)

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