中銀が輸入許可申請書に関する通達、官民双方から見直し求める声

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年09月23日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は8月24日、輸入許可申請書(Form M)に記載する支払い先(売り手)が商社など中間業者であってはならない旨の通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出した。

Form Mは、輸入取引成約の時点で輸入者があらかじめCBNに外貨割り当てを申請する書類で、T/T(電信)やL/C(信用状)など支払い手段にかかわらず、取引銀行を介してCBNに提出し、承認を得なければならない。従来は支払い先が商社のような中間業者でも申請できたが、本通達によれば、商社を介した輸入が不可能になる。間に商社が入って利益を取ることで輸入額が高くなり、国の外貨準備高が流出することを防ごうとするものとみられる。

これに対し、ラゴス商工会議所(LCCI)は8月30日、ウェブサイトに反対意見書を掲載し、ナイジェリア製造業協会(MAN)など産業界が反発している。意見書では、ユーザー1社でメーカーが求めるロットの発注は不可能で、外貨準備高不足の状況にあってユーザーが外貨割り当てを得るのは困難であること、また商社がメーカーに対する与信機能を果たしており、ユーザーの仕入れ代金支払いを半年猶予しているとして、商社の必要性を説いている。税関がアンダーバリュー(実勢価格よりもインボイス価格を低くして関税額を低くする)に厳しい一方で、CBNがオーバーバリューに厳しいのは流通業界を混乱させる行為だ、と批判した。

この通達に対して、日本企業からもジェトロに問い合わせが寄せられている。法律・会計事務所でも見解は一致しておらず、仲介貿易(第三国貿易)形態だけは申請不可能だという見解がある一方、商社が絡む輸入は全て申請できないという見解もあり、いずれにしろ申請書を受領した取引銀行の解釈によるほかないとしている。

ナイジェリア投資促進委員会(NIPC)のイェワンデ・サディク長官は9月16日、国連工業開発機関東京投資・技術移転促進事務所(UNIDO ITPO Tokyo)が主催したナイジェリア・ビジネス・ウェビナーで、参加者からの質問に対し、通達は明らかに原材料の輸入者ほぼ全てに重大な影響を及ぼすもので、公的機関と民間企業双方がCBNに対し通達の見直しを求めているところだ、と回答した。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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