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コロナ禍でIT-BPM産業の競争力が低下、世界6位に

(フィリピン)

マニラ発

2020年09月11日

米国の調査会社ソロンズ・インターナショナルは8月3日、IT-BPM産業(ITを活用したビジネス・アウトソーシング)の事業拠点に必要な各要素を指標化し、国や都市の競争力を評価した「ソロンズ・グローバル・イノベーション・インデックス 2020」を発表した。フィリピンは2019年の5位から順位を1つ落とし、6位だった。

同番付は2006年から毎年発表され、15回目を迎える。IT-BPM産業の事業拠点に必要な、人材確保、産業集積、ビジネスコストとインフラ整備状況、リスクと生活環境、エコシステムの成熟度といった要素を指標として、世界各国や主要都市の競争力を順位付けしている。フィリピンは、廉価なコストで優秀な英語人材を多数確保でき、税制上の優遇措置も手厚いため、人材確保、産業集積、ビジネスコストに優位性があり、毎年、上位を競っている。しかし、2020年の国別番付では前年より1つランクを落とした。また、都市別番付でもマニラが4位(2019年は2位)、セブが15位(2019年は12位)にそれぞれ下がり、2019年に95位だったダバオは上位100位から漏れた。

2020年9月1日付の現地紙「ビジネスワールド」によると、調査委員の1人、フィリピンITビジネスプロセス協会(IBPAP)ジョナサン・デ・ルズリアガ理事は「フィリピンは、『コロナ禍』で長らく厳しい行動制限を課したため、IT-BPM企業は在宅勤務で対応したものの、通信インフラが脆弱(ぜいじゃく)で、仕事や生活も不便な状態が続いたことで、順位を下げた」と説明している。また、同調査レポートは、インドとフィリピンが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を最も強く受けた国だとした。その要因として、両国のIT-BPM産業が顧客に提供する価値が、オフィスで(労働集約的に)働く、低コストの人材に大きく依存している点(例えば、そうした人材が、コールセンターに出勤してサービスを提供するというモデルが成り立たなくなったこと)を挙げた。さらに今後、ニューノーマルの状況下で、企業における人工知能(AI)や自動化の導入が加速し、人を中心としたアウトソーシングの古いモデルは衰退していくだろうとした。

今後の成長見通しについて下方修正か

7月29日のIBPAP会員総会資料によると、フィリピンのIT-BPM業界は、雇用者数が2018年の123万人から2019年に前年比5.7%増の130万人へ、収入も2018年の245億ペソ(約539億円、1ペソ=約2.2円)が2019年に7.3%増の263億ペソへと成長していた。しかし、添付資料の表のように、「コロナ禍」で変則的な運営を余儀なくされたため、2020年の成長可能性については、会員の47%が「ある程度成長」、35%が「前年並み」、18%が「ある程度後退」と回答した。IBPAPは、「コロナ禍」の影響で、2020年のフィリピンのIT-BPM産業の収益見通しを修正するだろう、と述べていた(「フィルスター」紙5月14日)。2019年11月には、2020年の成長率を3.8~7.3%と見込んでいたが、下方修正を迫られそうだ。

(石原孝志)

(フィリピン)

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