海上貨物運賃の急騰対策、韓国貿易協会が政府に建議

(韓国)

中国北アジア課

2020年09月23日

韓国貿易協会は9月15日、最近、急騰している海上貨物運賃に関する貿易業界の意見を盛り込んだ建議書を産業通商資源部と海洋水産部に提出し、実効性のある対策を求めた。

海上運送航路の運賃水準を示す上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は、2020年の第1四半期に前年同期比8.5%増、第2四半期には16.3%増となった。第3四半期には7~8月の2カ月間で37.4%増と、3四半期連続で増加している。特に、米国航路は7~8月の2カ月間で72.6%も増加し、韓国の輸出コンテナ物流量の割合が高い東南アジア(24%増)、欧州(10.4%増)、日本(6.4%増)などの航路でも運賃が上昇している。

韓国貿易協会の建議書によると、海上貨物運賃急騰の原因として、「新型コロナ禍」での世界的貿易不振による船会社の運航船舶数縮小、物流量の回復傾向に対する船舶の追加供給の遅延、中国発物流量の急増による中国への船舶供給の偏り、などを挙げている。輸出企業からは「中国発の貨物運送では高い追加運賃が見込めるため、一部の大手船会社が、国内の輸出企業と長期運送契約を結んだ船舶まで、中国に優先的に配置している」との声も上がっているとした。

このような動きを受け、韓国貿易協会は政府に対し、船会社の過度な運賃徴収や一方的な長期契約の変更に対する管理・監督の強化、韓国発貨物に対する船舶配分の誘導および業界支援などを要請した。また、韓国船主協会に対しても、船主と荷主間の契約順守、船主の利潤の適正化など、海上貨物運賃の高騰に関する協力と支援を要請した。

韓国貿易協会のキム・ギョンヨン物流サービス室長は「韓国の輸出における海上運送が占める割合は98.9%(2020年8月時点)」とし、「『新型コロナ禍』の厳しい情勢の中、海上貨物運賃の高騰は韓国の輸出競争力を低下させかねない。政府の積極的な対応と船主と荷主の共存発展に向けた協力が重要」と述べた。

(友田大介)

(韓国)

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