重慶の自動車産業に回復の兆し、今後は新エネやスマート化を重視

(中国)

成都発

2020年09月29日

重慶市経済・情報化委員会は9月22日、同市の自動車産業の動向に関する記者発表会を開催した。同委員会の楊麗瓊副主任は、2020年1~8月における、重慶市の自動車生産額は前年同期比3.5%増で、中国全体の伸び率を0.7ポイント上回り、回復基調が顕著だと述べた。また、同市の自動車産業の今後の発展の方向性として、新エネルギー車とコネクテッドカーを重視していくことを表明した。

記者発表会には、重慶長安汽車、上汽イベコ紅岩商用車、長城汽車も出席、各社の経営状況や今後の方向性について説明した。

長安汽車の葉沛副総裁は、2020年1~8月の同社グループの販売台数は116万5,000台(前年同期比9.5%増)で、販売は好転しつつあるとの見方を示した。今後、新エネルギー車の開発、自動車のスマート化に重点を置き、毎年、営業収入の5%を技術開発に投入すると述べた。また、競争力のない車種を淘汰(とうた)して、ブランド力の向上を図り、特に自主ブランド車の市場シェアを9.7%以上にするとした。さらに、2025年までに、完全な音声操作を実現させることや、自動運転レベル4に対応する車種の量産、新エネルギー車の生産比率を25%以上にする方針を示した。

上汽イベコの夏洪彬副総経理によると、2020年1~8月の同社のトラック販売台数は前年同期比31.1%増の5万1,618台、主要事業収入は20.3%増の144億元(約2,160億円、1元=約15円)となった。夏副総経理は、今後、第5世代移動通信システム(5G)や自動運転レベル4に対応したスマート大型トラックの開発を強化する考えを表明。消防車、冷蔵車、危険品運搬車、ミキサー車などへの応用を進め、車の種類をさらに拡充していく方針を示した。また、8億元を投じて第2工場を建設するほか、ロボットを導入し工場のスマート化を進める方針も示した。

長城汽車重慶工場の呂文斌副総経理は、2019年8月に重慶永川区で稼働したピックアップトラック工場について、「生産台数が2020年8月までの累計で8万1,000台に達した」と述べた。また今後、重慶工場では右ハンドル車の生産を加速し、2020年11月にはスポーツ用多目的車(SUV)「坦克(Tank)300」を生産する方針を示した。同社は、関連部品の産業集積も充実させていく予定で、既にエンジン、トランスミッション、シャシー、ボディ、電子機器の5分野で傘下の企業が同工場周辺に進出している。

(王植一)

(中国)

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