上半期の貿易、新型コロナの影響で停滞

(ベトナム)

ハノイ発

2020年09月07日

ベトナム税関総局によると、2020年上半期(1~6月)の輸出は1,227億8,853万ドル(前年同期比0.2%増)、輸入は1,173億2,695万ドル(2.9%減)だった。新型コロナウイルスの影響を受け、2010年から続いている貿易額の伸びに停滞感がみられる。輸入の減少を受け、貿易収支は54億6,159万ドルの黒字となった。

貿易収支の内訳は、外資企業が140億5,226万ドルの黒字、国内企業が85億9,068万ドルの赤字となり、外資企業がベトナムの貿易黒字を支えている構造は変わっていない。

主要国・地域別では、輸出相手先1位が米国で315億355万ドル(前年同期比14.6%増)、2位が中国で196億6,653万ドル(18.2%増)、3位が日本で92億9,510万ドル(3.7%減)だった(添付資料表1参照)。輸入相手先では、1位が中国で349億1,897万ドル(1.9%減)、2位が韓国で207億8,544万ドル(7.9%減)、3位が日本で94億3,196万ドル(6.9%増)となった。2019年に引き続き、米国への輸出が好調を維持したほか、停滞感のあった中国への輸出は2020年に入り、高い伸び率となった。米国向けはコンピュータ電子製品・同部品、中国向けはコンピュータ電子製品・同部品および電話機・同部品といった電子分野の輸出の伸びが好調だった。

主要品目別にみると、輸出では1位が電話機・同部品で219億5,549万ドル(前年同期比6.5%減)、2位がコンピュータ電子製品・同部品で194億7,127万ドル(25.4%増)、3位が縫製品で131億8,175万ドル(12.7%減)となった(添付資料表2参照)。

輸入では、1位がコンピュータ電子製品・同部品で271億6335万ドル(前年同期比13.8%増)、2位が機械設備・同部品で168億2,042万ドル(4.5%減)、3位が電話機・同部品で59億7,109万ドル(2.7%増)だった(添付資料表3参照)。

6月は輸出入ともに増加

2020年1~4月の輸出は前年同期比2.0%増、輸入は0.3%減だったが、5月単月は、輸出が前年同月比12.3%減、輸入は21.2%減と大きく落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な消費低迷が一因とみられる。

一方、6月単月は、輸出が前年同月比5.3%増、輸入は6.4%増と輸出入ともに増加した。電話機・同部品や縫製品の輸出額は5月がそれぞれ21.1%減、31.9%減だったものの、6月は3.4%減、9.7%減と落ち込み幅が縮小した。コンピュータ電子製品・同部品の輸出額は5月の15.7%増から6月は33.2%増とさらに高い伸び率となった。ただし、ベトナム商工省は、2020年後半の輸出について、縫製品などは引き続き厳しい状況が続くほか、電子関連製品についても欧米市場で需要が減少する可能性があると予想する。他方で、8月1日に発効したEUベトナム自由貿易協定(EVFTA)が貿易を促進させるとの期待も高まっている。

(上田弘大)

(ベトナム)

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