第2四半期の成長率(確定値)は前期比年率でマイナス52.7%、サービス業の減速鮮明に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年09月02日

国立統計地理情報院(INEGI)は8月26日、メキシコの2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率の確定値を前期比(季節調整済み)でマイナス17.1%、前年同期比でマイナス18.7%と発表した(添付資料表1および表2参照)。速報値(2020年8月3日記事参照)よりそれぞれ0.2ポイント改善したものの、前期比を年率換算するとマイナス52.7%で、歴史的な落ち込みになったことに変わりない。

サービス業は、全体で前年同期比16.2%減、前期比で15.1%減となり、内訳をみても各業種とも軒並みマイナスとなった。新型コロナウイルス感染拡大による、外出自粛などの措置の影響を大きく受けたかたちだ。前年同期比を寄与度順にみると、小売業がマイナス2.62ポイント(前年同期比28.9%減)、運輸・郵便・倉庫がマイナス2.60ポイント(39.3%減)、卸売業がマイナス1.79ポイント(21.7%減)と主な押し下げ要因になった。また、博物館やスポーツ施設を含む、文化・娯楽施設が前年同期比76.9%減、ホテル・レストランが70.4%減と大きな落ち込みをみせた。

鉱工業も、前年同期比25.7%減、前期比23.4%減と後退した。内訳を寄与度順にみると、製造業がマイナス4.77ポイント(前年同期比29.6%減)でGDP全体を大きく押し下げ、特に輸送機器産業は前年同期比64.2%の大幅減だった。建設業がマイナス2.26ポイント(34.2%減)、電気・ガス・水道が前年同期比10.0%減、鉱業は4.8%減だった。農牧・林業・水産は0.5%減と微減にとどまった。

メキシコ中央銀行は同日、2020年第2四半期経済報告を発表し、メキシコの2020年の経済成長率の見通しを引き下げた。理由は、メキシコのみならず、世界で新型コロナウイルス感染拡大が続いていることで先行きの不透明さが増しており、生産活動の抑制などの影響が中・長期的に続くとみられるため、としている。また、経済活動再開には、感染状況に応じて地域や産業により違いが出ることが考えられるとして、経済成長の推移について3つのシナリオを想定した。1つ目は、6月にみられた回復のスピードが第3四半期にも保たれる場合(V字回復シナリオ)で、2020年の実質GDP成長率は前年比マイナス8.8%(2020年第1四半期経済報告ではマイナス4.6%)、2021年は5.6%(4.0%)とした。2つ目は、回復が減速した場合(深いV字回復シナリオ)で、2020年の実質GDP成長率はマイナス11.3%(マイナス8.8%)、2021年は2.8%(4.1%)とした。3つ目は、上半期の経済へのダメージが尾を引き、供給と需要の双方で縮小が続く場合、または感染状況が悪化した場合(U字回復シナリオ)で、2020年の実質GDP成長率はマイナス12.8%(マイナス8.3%)、2021年は1.3%(マイナス0.5%)とした。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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