OECD、2020年の世界経済見通しを上方修正

(世界)

国際経済課

2020年09月17日

OECDは9月16日、「エコノミックアウトルック(経済見通し)中間報告」(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2020年はマイナス4.5%、2021年はプラス5.0%と予測した(添付資料表参照)。前回6月に発表した見通しでは、2020年末までに新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の第2波が襲来するシナリオ(双発シナリオ)と、新型コロナがこのまま終息するシナリオ(単発シナリオ)の2つのシナリオを用意した(2020年6月11日記事参照)。今回と前回(単発シナリオ)の見通しとを比較すると、2020年の見通しを1.5ポイント上方に、2021年の見通しを0.2ポイント下方にそれぞれ修正した。

2020年の経済見通しを国・地域別にみると、中国の見通しを前回のマイナス成長から一転してプラス成長へ上方修正した。G20の中では唯一、2020年にプラス成長になると見込む。中国では強力なインフラ投資により、経済活動が2020年4~6月期までに新型コロナ発生前の水準に急速に戻ったほか、感染爆発(アウトブレーク)時期が早期だったことと、封じ込め政策が迅速だったこと、さらには、経済活動を迅速に回復する政策支援が評価された。中国や米国の大幅な、また欧州の上方修正が2020年の世界経済見通しの上方修正に大きく寄与した。

今回の見通しに際しては、さらなる散発的アウトブレークが織り込まれている。大規模な都市封鎖(ロックダウン)ではなく、局所的な移動または活動の制限を前提にしているほか、効果的なワクチンが広く普及するまでには少なくとも1年かかると想定している。それでも、2021年末にかけて緩やかに経済が回復していくと見込む。

2021年の世界的な成長見通しは2020年6月の前回見通しとほとんど変わらない。しかし、新たなアウトブレークに対して緩やかな措置によって制御可能な場合や、効果的な治療またはワクチンが想定よりも早く広く普及できる兆候がある場合、企業と消費者の景況感が想定よりも早く改善されると指摘。この上向きシナリオの場合、2021年の世界経済成長率は5.0%から7.1%に押し上げられると試算した。他方で、アウトブレークの激化、もしくは感染拡大を抑制するためにより厳格な封じ込め措置が必要になる場合、景況感は弱まり、不確実性が高まる可能性を指摘。この下向きのシナリオの場合、2021年の世界成長率は2.2%に下押しされると試算した。

(朝倉啓介)

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