OECD、新型コロナの拡大を受け、世界経済見通しを引き下げ

(世界)

国際経済課

2020年06月11日

OECDは6月10日、「経済見通し(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大に伴って並外れた不確実性に直面していることから、これまでとは異なり、同じ程度起こり得る2つのシナリオを用意した。

1つ目は、2020年末までに新型コロナウイルスの大規模拡大の第2波が襲来するシナリオ(双発シナリオ)。この場合、2020年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)はマイナス7.6%、2021年はプラス2.8%と予測した(添付資料表参照)。

2つ目のシナリオは、新型コロナがこのまま収束するシナリオ(単発シナリオ)。この場合、2020年の世界の経済成長率はマイナス6.0%と予測した。双発シナリオとは異なり、2020年後半から経済活動が再開されることから、2021年はプラス5.2%と比較的力強く回復すると予測している。

OECDが3月に発表した予測では、2020年をプラス2.4%、2021年をプラス3.3%と見込んでいた(2020年3月3日記事参照)。この時点では、中国で新型コロナが2020年第1四半期(1~3月)に感染のピークを迎え、他国・地域での流行が抑制される想定に基づいていた。

欧州の落ち込み幅が顕著に

国・地域別にみると、先進国の中では、感染の影響が比較的長期に及び、厳格な封じ込め政策が講じられた欧州の見通しが特に弱い。ユーロ圏の2020年の見通しは、双発シナリオの場合ではマイナス11.5%と、マイナス幅が2桁となる見通し。

新興・途上国では、特に国際商品生産国が健康と経済両面で困難に直面していると指摘した。例えば、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国の2020年の経済見通しは、双発シナリオの場合、それぞれマイナス9.1%、マイナス10.0%、マイナス8.2%と、世界全体(マイナス7.6%)よりも減少幅が大きい。単発シナリオでも同様の傾向にある。他方で、中国の経済成長の落ち込みは比較的小さい。2020年の経済成長率は、双発シナリオではマイナス3.7%、単発シナリオでマイナス2.6%と予測している。

(朝倉啓介)

(世界)

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