政府、「支援」「適応」「投資」の経済支援策を発表

(オランダ)

アムステルダム発

2020年09月04日

オランダ政府は8月28日、10月1日から実施する新たな経済支援策を発表した。新型コロナウイルスにより長引く雇用と経済への影響を踏まえ、従来の「支援」を継続しつつも、景気後退への「適応」、景気回復のための「投資」などを反映した内容となった。全体の予算規模は約110億ユーロを予定。

経済支援策の中で利用の最も多い従業員給与の補助スキーム(NOW3.0)は、2021年6月末まで9カ月間延長するが、これまで売り上げ減少が前年比20%以上を要件としていたものを、2021年1月以降は30%以上に引き上げる。また、従業員給与の最大90%を補助していたが、10月以降は最大80%とし、2021年1月からは70%、同年4月からは60%に段階的に引き下げていく。従業員解雇に対する「ペナルティー」はさらに緩和された一方、雇用の受給調整のための従業員の訓練が引き続き求められ、株主への配当、ボーナスの支給などにも制限がある。予算規模は約54億ユーロとし、2021年6月末で終了する。

自営業者に対する一時的な収入補助・融資支援スキーム(TOZO)、飲食業、レクリエーション、イベントなどの事業者に対する家賃などの固定費の支援スキーム(TVL)も2021年6月末まで延長する。TOZOは収入補助と低利融資からなるスキームだが、2021年1月から専門家による経営アドバイス、事業転換の相談などのサービスが付加される。また、TVLでは固定費の補助額を10~12月の3カ月間、最大9万ユーロに引き上げるが、2021年1月以降は段階的に補助額を引き下げ、6月末に終了する。

税の繰り延べについても、2021年1月1日まで延期が可能で、未払い分は最大2年間まで分割して、毎月定額を返済することが可能。支払遅延の利子もほぼゼロで、2021年12月31日まで適用する。このほかにも、資金調達時の政府保証や小口融資などの経済支援策も引き続き実施予定。

今回の発表では、景気回復策として約20億ユーロのインフラなどへの公共投資をはじめ、民間基金などへの出資、地域開発公社(ROM)などへの資金提供などにより中堅企業の資本の強化、技術力のある中小企業の支援なども盛り込まれた。さらに、失業者の増加などが今後予想されることから、各自治体やオランダ労働者保険事業団(UWV)などと協力し、失業者の再就職、キャリアアップなどの支援、若年層、社会的弱者などへの追加支援を約10億ユーロの予算で準備する。

(高橋由篤)

(オランダ)

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