カナダ経済は堅調に回復、輸出入は2カ月連続で前月比2桁増
(カナダ)
トロント発
2020年09月10日
カナダ統計局は9月3日、2020年7月の輸出が前月比11.1%増の454億2,800万カナダ・ドル(約3兆6,300億円、Cドル、1Cドル=約80円)、輸入は12.7%増の478億7,900万Cドルと発表した。6月から主な経済活動が再開したことで、輸出と輸入の両方において、2カ月連続で上昇率が2桁となった。英国調査会社キャピタルエコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「カナダ経済は、当初の予想よりも早く、パンデミックからの回復が進んでいることを示す」と述べている。
6~7月に輸入を牽引したのは、自動車と同部品だった。通常、3~6月は自動車の輸入が最も多い時期だが、2020年は新型コロナウイルスで自動車産業が大きな影響を受け、ほとんどの組立工場が7月の増産や夏季休業期間の短縮によって生産の遅れを取り戻した結果、国内外の自動車や同部品の需給が大幅に増加した。輸出についても、自動車と同部品は米国向けの増加で前月比37.0%増の82億Cドルになり、2月の水準を11.7%超えた。
さらに、8月21日発表の小売統計によれば、小売売上高は、5月の前月比21.2%増に続き、6月には23.7%増加し、「新型コロナ危機」前のレベルに回復した。渡航制限により、大型旅行を取りやめる代わりに、ゴルフ場やキャンプ場など、アウトドア支出が大幅に増加。カナダ統計局によると、5月のパティオ(庭)用家具の売上高は前年同月比で46%増加し、自転車の売上高は60%増加した。そのほか、園芸、スポーツ、釣り、キャンプ用品も売り上げが好調だ。しかし、統計局の7月の小売売上高予想は0.7%増で、経済の先行きはまだ不透明となっている。失業率も8月は10.2%と前月から0.7ポイント改善しているが、アシュワース氏は「雇用の伸びの鈍化は、経済回復の勢いを失っている可能性を示している」と警告している。
(江崎江里子)
(カナダ)
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