WIPOグローバルイノベーション指数2020でスイスが10年連続1位

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2020年09月07日

世界知的所有権機構(WIPO)は9月2日、グローバルイノベーション指数(GII)2020年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同指数は、WIPOが米国コーネル大学およびフランスのINSEADと共同で2007年から策定しているもので、スイスは10年連続で首位となった。2位はスウェーデン、3位米国、4位英国、5位オランダと続く。上位25カ国中16カ国が欧州諸国で占められた一方で、近年は中国(14位)、ベトナム(42位)、インド(48位)、フィリピン(50位)といったアジア圏の国がスコアを伸ばしてきていることが指摘された。日本は前年から順位を1つ下げ、16位だった。

今回は、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した2020年初頭を含めた分析となっている。感染拡大で経済成長が停滞する中、長期的な成長を見据えたイノベーション創出活動を支えるためには資金調達が重要で、ソブリンファンドや公的資金に加え、コーポレートベンチャーキャピタル、知的所有権取引やフィンテックなどの資金調達の新たな手法の役割は大きいとした。

スイスは国民1人当たりの特許出願件数では世界第1位で、知的資産の創出などの項目をまとめた「イノベーション創出部門」で1位、人材、インフラ、市場環境、ビジネス洗練度などの項目をまとめた「イノベーションへの投入部門」で2位と高評価を得て、総合で1位だった。これに対して、日本は情報通信技術(ICT)や省エネなどのインフラ、市場環境については比較的高評価だったが、GDP比の教育投資額や大学教育などの人材とインターネット上での資産創出といった知的資産創出の項目の評価が低く、「イノベーションの創出部門」で18位、「投入部門」で12位となり、総合では16位にとどまった。

また、GIIでは、2017年から国別ランキングと併せて、世界の都市・地区別科学・技術クラスタートップ100を発表しているが、こちらでは東京・横浜地区が特許出願の活性度が評価され、4年連続の1位となった。

(和田恭)

(スイス、世界)

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