中国の知財環境はOECD加盟など40カ国中8位、2019年知的財産権発展状況評価報告を発表

(中国)

中国北アジア課

2020年09月23日

国家知識産権局知識産権発展中心外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは9月14日、「2019年中国知的財産権発展状況評価報告」を発表した。同報告書では、OECD加盟の34カ国にBRICSとシンガポールを加えた40カ国について、知財能力、パフォーマンス、環境の3つの分野の指数を基に知的財産発展状況指数(注1)を算出し、国際比較を行っている。

2018年のデータでは、中国は、日本、米国、韓国、スイス、ドイツ、オランダ、フィンランドに次いで8位となった。過去5年間、上位国の顔触れはほとんど変わらないが、中国は2014年の20位から、2015年17位、2016年12位、2017年9位、2018年8位と着実に順位を上げている(添付資料図参照)。

分野別の中国の順位は、知的財産権の申請件数などを評価項目とする知的財産権能力指数は5位、研究員1万人当たりの特許授権数やグローバルブランドトップ100に自国企業が占める割合などを評価項目とするパフォーマンス指数は3位と上位になった。一方で、法執行の有効性や知的財産権意識などを評価項目とする環境指数は23位にとどまった。

このほか、中国国内の指標として、知的財産権の創造、運用、保護、環境の4つの分野の指数を基に、知的財産権総合発展指数(注2)を算出し、2010年以降の変化および地域別の状況を分析している。

2019年の知的財産権総合発展指数は279.2(2010年を100として算出)となり、この10年で3倍近くに改善した。分野別では、創造指数が270.5、運用指数が234.0、保護指数が314.8、環境指数が297.4だった。創造指数の評価項目の1つである特許申請件数は、9年連続で世界一となっているほか、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願件数(PCT出願)でも2019年には米国を抜いて世界1位になった。

省市別の順位では、1位広東省、2位上海市、3位江蘇省、4位北京市、5位浙江省、6位山東省だった。中でも、PCT出願については、2019年に中国国内の出願人が行った5万6,000件のうち、約2万5,000件を広東省が占めた。東部の各省市の指数が最も高く、次いで中部となり、西部と東北は低くなっており、中国全体で底上げが進んでいるものの、発展状況には地域差のある状況が継続している。

(注1)対象国横並びで入手できる33項目を指数化。

(注2)知的財産権発展状況指数の評価項目とは一部異なる。各分野の評価項目として、創造指数は権利取得数や人口1万人当たりの特許保有数など13項目、運用指数は特許・商標のライセンス件数、技術市場での交易金額など12項目、保護指数は司法・行政の保護指数など13項目、環境指数は人口1万人当たりの特許・商標などの出願件数、知的財産サービス機構の数など8項目、合計46項目が使用されている。

(江田真由美)

(中国)

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