紙幣を刷新、新たに高額紙幣も導入

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年09月16日

エチオピア首相府は9月14日、紙幣の一部を刷新し、併せて200ブル(約580円、1ブル=約2.9円)札を導入すると発表した。首相府は刷新の目的について、紙幣の安全性を高めるとともに、非公式経済部門の貨幣流通を減らして金融犯罪などを減らし、金融機関の資金難を支援すると説明している。刷新するのは額面10ブル、50ブル、100ブルの各紙幣。紙幣には5ブルもあるが、刷新対象とせずに今後、硬貨に切り替える予定という。かつて、エチオピアでは、1ブル紙幣も使われていたが、今ではやはり硬貨になっている。新たに最高額面となる200ブルの導入発表に対して、オンライン上では、より高額な500ブル紙幣を望む声がある。

今回の紙幣刷新と高額紙幣の導入は、5月時点でエチオピア銀行協会が提言しており、中央銀行も段階的に準備を進めてきた。当時、銀行協会の提言を報道した「フォーチュン」誌(2020年5月23日付)は、エチオピアの貨幣価値が平均で週0.4%減価していることや、貨幣流通量2,300億ブルのうち、銀行システムの外で1,130億ブルが流通していると指摘していた。中央銀行は5月19日付の指令で、事業者と個人に対して市中銀行からの現金引き出し上限を設けていた。事業者は1日当たり30万ブル、月間250万ブル、個人は同20万ブル、同100万ブルまでに制限していた。8月18日には別の指令で、現金保有規制が敷かれ、個人法人を問わず現金保有額を150万ブル以内に制限していた。

刷新する紙幣の交換期限について、エチオピア国内での発表や報道にはみられないが、トルコの通信社が3カ月と報じており、12月14日までに銀行窓口に持ち込むなどして交換しておくのが賢明だ。

(関隆夫)

(エチオピア)

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