米中摩擦の中、中国外相がデータ安全のイニシアチブを提唱
(中国、米国)
中国北アジア課
2020年09月25日
中国の王毅国務委員兼外交部長は9月8日、北京で開催されたグローバル・デジタルガバナンス・シンポジウムにおいて、「グローバルデータ安全イニシアチブ」を提起し、各国からの積極的な参加を呼び掛けた。同イニシアチブの主な内容は以下のとおり(詳細は外交部のウェブサイトに掲載)。
- データを客観的かつ理性的に安全に扱い、グローバルサプライチェーンの開放、安全、安定の維持に力を尽くす。
- 情報技術を利用して他国の重要インフラを破壊したり、重要なデータを盗んだりする行為に反対する。
- 個人情報を侵害する行為を防止、抑止する措置をとり、情報技術を乱用して他国を大規模に監視・制御したり、他国国民の個人情報を不法に収集したりしてはならない。
- 企業に現地の法律を尊重するよう要求し、自国企業に海外で発生し取得したデータの自国国内での保存を強制してはならない。
- 他国の主権、司法管轄権およびデータの管理権を尊重し、直接的に企業あるいは個人に他国のデータを調査・収集させてはならない。
- 司法共助などのルートを通じて、法執行の国境を越えたデータの調査・収集の必要性を満たさなければならない。
- IT製品・サービスの提供企業は、製品・サービスにバックドアを設置することで、ユーザーのデータを不法に取得してはならない。
- IT企業は、ユーザーの製品への依存を利用して不正な利益を獲得しようとしてはならない。
米国政府が中国の通信企業を念頭に、5つの面で通信インフラ保護を推進するなどの動きがみられる中(2020年8月7日記事参照)、中国が各国におけるデータ安全を重視している姿勢を示す内容となっている。王毅外交部長は、同シンポジウムのスピーチの中で、中国政府が他国の法律に背き、中国政府に対して海外のデータを提供するよう求めることはなかったし、これからもない、と強調した。また、データ安全の問題を政治化し、誹謗中傷する行為は国際ルールに背くもので、グローバルなデータ協力とその発展を著しく阻害するとも述べた。
(宗金建志)
(中国、米国)
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