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欧州委、新たな政策指針となる「戦略的将来予測報告書」を公表

(EU)

ブリュッセル発

2020年09月10日

欧州委員会は9月9日、EUの今後の政策決定における判断材料とすべく「戦略的将来予測報告書(Strategic Foresight Report)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。主要な政策の計画段階において、将来の戦略的な展望分析を中核的な検討材料とすることで、短期的な行動計画を、欧州委の長期的な目標であるデジタル化や、より環境に配慮した経済への移行などに即したものにすることが狙いだ。

第1回となる今回は、「新型コロナウイルス危機」によって、EUや加盟国におけるさまざまな脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したことから、今後のEUの政策における指針として「レジリエンス(回復力)」に焦点を当てるとした。「レジリエンス」について欧州委は、単なる課題対応にとどまらず、持続可能で、公平で、民主的な社会へと移行するための原動力と説明。今回の危機から得た教訓として、EUや加盟国における「レジリエンス」の強化策が必要だとしている。

「レジリエンス」の多角的分析と戦略的フォーサイトの活用

この報告書は、「レジリエンス」を以下の4つの側面から分析し、それぞれの課題および、その解決策に関する示唆を含んでいる。

  1. 社会経済的レジリエンス:「新型コロナウイルス危機」は、人口バランスの変化や貧困の深刻化、作業の自動化の加速をもたらし、サービス産業の雇用に深刻な影響を与えた。本報告書は、この解決のため、官民による投資促進や中小企業への資金供給を提案するとともに、今後、投資を加速すべき技能について示唆。
  2. 地政学的レジリエンス:「新型コロナウイルス危機」は、デジタル化や脱炭素化に必要な重要な原材料に関して、EUが第三国に過度に依存していることを明らかにした。本報告書は、特に供給リスクの高い原材料などを特定し、調達経路の多様化や域内での循環性向上を提言しているほか、グローバルガバナンスにおける欧州のプレゼンス強化など、EUの自立性を高める戦略的な選択肢を示唆。
  3. 環境保護的レジリエンス:新たな雇用創出など、より環境に配慮した経済への移行が与える効果は、「新型コロナウイルス危機」からの復興において、当初の予測より大きな役割を果たす可能性がある。本報告書は、何がそうした移行の起爆剤となるかといった分析だけでなく、移行に伴う労働市場の構造的な変化を予測しており、それに伴う雇用喪失に対応するための新たな職業訓練の提供について示唆。
  4. デジタルレジリエンス:「新型コロナウイルス危機」は、生活のあらゆる場面でのデジタルの活用を加速した。今後、実用化される技術の生活への影響や、そうした技術の活用策について示唆。

(吉沼啓介)

(EU)

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