中国商務部、米国へWTO裁定の尊重を求める

(中国、米国)

中国北アジア課

2020年09月17日

中国商務部報道官は9月15日、米国の通商法301条に基づく中国への追加関税措置がWTO義務に違反しているとの中国の訴えをWTO紛争処理委員会が認めたことについて、「紛争処理委員会の客観的で公正な裁定を称賛する。中国は米国の一国主義と保護貿易主義の誤ったやり方を紛争処理委員会に提訴した。これは自らの合法的権益を守るために必要なものだ。また、中国がWTOのルールを尊重し、多国間貿易体制の権威を守る断固とした決意を示すものでもあった」として、中国の正当性を強調した。

また、「WTOを核心とする多国間貿易体制は国際貿易の礎だ。中国は一貫してこれを支え、守り、WTOのルールと裁定を尊重している。中国は米国が紛争処理委員会の裁定とルールを基礎とする多国間貿易体制を十分に尊重し、実際の行動で中国およびWTO加盟メンバーと歩み寄り、多国間貿易体制をともに守り、世界経済の安定した健全な発展を推し進めるよう希望する」と、米国にWTO裁定の尊重を求めた。

外交部の汪文斌報道官も16日の定例記者会見でこの問題についてコメントし、WTO紛争処理委員会の裁定を称賛すると述べた。さらに「国際ルールを破っているのは米国自身であることがあらためて明らかになった」「米国は自国に利益をもたらすものとして国際機関を利用し、利益に見合えば利用し、そうでなければ見捨てる」と批判した。また、中国が多国間貿易システムとWTOのルールと裁定を尊重していると強調し、米国に紛争処理委員会の裁定とルールに基づく多国間貿易体制を尊重するよう求めた。

商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は「今回の裁定からみると、WTOは貿易自由化の方向性を堅持し、米国の貿易保護主義を決して容認しなかった。WTOは中国の支持を表明したが、現在の情勢からみて、トランプ大統領の心を揺り動かすのは難しいだろう」と、先行きが依然として不透明な点を指摘している(「華夏時報」9月16日)。

(宗金建志)

(中国、米国)

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