上海市の上半期GRP成長率、前年同期比マイナス2.6%、新型コロナの影響

(中国)

上海発

2020年08月06日

上海市統計局は7月23日、2020年上半期の経済概況を発表した。域内総生産(GRP)の実質成長率は前年同期比マイナス2.6%で、第1四半期(1~3月)の同マイナス6.7%から若干改善の動きがみられたものの、2019年上半期(5.9%)を大きく下回った(添付資料表参照)。

産業別では、牽引役だった第三次産業が0.6%減となった。好調な情報サービス業(13.5%増)や金融業(7.4%増)に対し、深刻な不振にあえぐホテル・飲食業(31.3%減)、卸売・小売業(9.4%減)と二極化が鮮明となった。第二次産業は製造業の生産低迷で8.2%減となり、前年同期(1.6%減)に比べて悪化した。

そのほか、固定資産投資は工業投資(15.0%増)と不動産投資(7.0%増)、インフラ投資(2.2%増)などの拡大で、2019年上期(5.0%増)を上回り、6.7%増となった。とりわけ、電子情報産業(78.8%増)、バイオ医薬産業(26.8%増)、自動車産業(24.6%増)への大型投資が相次ぎ、製造業投資は20.1%増となった。対内直接投資(実行ベース)は5.4%増となり、ソフト・情報サービスなど技術開発関連の投資が拡大し、外資企業に積極的な投資意欲がうかがえる。

消費動向を示す社会消費品小売総額は11.2%減で、第1四半期(20.4%減)より9.2ポイント改善したものの、投資や工業生産よりも回復が鈍かった。一方、電子商取引(EC)は巣ごもり消費の影響を受けて5.0%増加し、社会消費品小売総額に占める割合が17.7%となった。

対日輸出が7.3%減と悪化

また、上海市の2020年上半期の貿易総額は前年同期比0.7%減となった。輸出(0.7%増)は前年同期のマイナスからプラスに好転した。日本向け輸出が7.3%減となった一方、米国向け輸出が医療物資を中心に増加し、前年同期(10.4%減)から一転して6.1%増となった。

(劉元森)

(中国)

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