ロックダウン緩和第4段階を再び延期、水際対策も再強化

(アイルランド)

ロンドン発

2020年08月07日

英国などと同様に、アイルランドでも新型コロナウイルス感染症が再拡大しつつある。ミホール・マーティン首相は8月4日、10日に予定していた緩和ロードマップ最終段階(第4段階)への移行を延期すると発表。世界的に見て、国内の感染状況は良好と言及しつつも、6月24日時点で6.4人だった1日当たりの新規感染者数(5日間の移動平均値)が45.4人に増加していること、6月30日時点で2.46人だった人口10万人当たりの過去14日間の新規感染者数が1カ月で約3倍の7.54人まで増加している、などの実例を挙げ、保健省の国民公衆衛生緊急班(NPHET)の助言を踏まえて決断した。次回の見直しは3週間後に行う。

第4段階への移行を延期するのは、7月20日に続き今回で2度目となる(2020年7月27日記事参照)。パブやバー、ナイトクラブなどの営業再開や、屋内100人、屋外500人への集会参加人数の上限引き上げが、引き続き延期された。これに対し、酒造業者協会(LVA)と酒造業者連合(VFI)が直ちに共同声明を発表し、政府は国内の小規模パブ約3,500店を見捨てたと非難するなど、関連事業者からは反発の声が上がっている。マーティン首相は会見で、緩和延期が国民に失望を与え、パブ経営者にとって打撃となることを認めながらも、これ以上緩和を急げば、8月末以降の学校再開や長期的な経済活動に深刻な影響を与えるとして、国民に理解を求めた。

「グリーンリスト」からは5カ国・地域を除外

今回の緩和ロードマップ第4段階への移行延期と同時に、政府は「渡航が必要不可欠な際に、感染が抑制されており安全に渡航できる国・地域」として7月21日に定めた「グリーンリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」対象国の見直しも行った。その結果、各国・地域での感染状況の悪化から、キプロス、マルタ、ジブラルタル、モナコ、サンマリノをリストから除外。対象5カ国・地域からの入国者は今後再び、入国後14日間の自己隔離が義務付けられる。

このほか、小売店やショッピングセンター滞在時のフェイスカバー(マスク)着用義務化は、予定どおり8月10日から行う。政府は一段と警戒を強めており、慎重なかじ取りが続きそうだ。

(杉田舞希)

(アイルランド)

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