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米政府、米株式市場保護の規制案を発表、基準満たさぬ中国企業の上場廃止も

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年08月11日

米財務省は8月6日、米株式市場を中国企業がもたらすリスクから保護する案を含めた報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を大統領に提出した。トランプ大統領が6月4日に発表した覚書の指示に基づく対応となる(2020年6月8日記事参照)。

米政府の問題意識の根底には、中国企業が米証券取引所に上場する企業が従うべき投資家保護ルールなどを順守していないとの認識がある。大統領覚書では、財務長官を筆頭に連邦準備制度理事会(FRB)議長、証券取引委員会(SEC)委員長、商品先物取引委員会(CFTC)委員長らを含む作業部会を設置して対抗措置などを検証するよう指示していた。今回の報告書はSECに対して、中国を含む「非協力的管轄地域(NCJ)」に拠点を置く企業(NCJ企業)による米証券取引所への上場に関して、次の5点に対応するよう求めている。

  1. 監査調書へのアクセスに関する上場基準の厳格化:新規上場または上場を継続するには、a.上場企業の主要な監査法人が作成する監査調書への米公開会社会計監督委員会(PCAOB)によるアクセスを可能とする。b. NCJの政府による規制または慣行によりa.を満たせない場合、PCAOBが認める監査法人による共同監査結果を提出することで基準を満たすことが可能。市場の混乱を軽減するために、上場済み企業による新基準の順守期限は2022年1月1日まで猶予する。新規上場企業に対しては、新基準が有効となった時点で即時に適用する。
  2. 証券発行企業に関する情報開示の強化:ガイダンスの発行を含めてNCJ企業への投資に伴うリスク情報の開示を強化する。
  3. 登録基金に関する情報開示の強化:NCJ企業への投資が可能となっている基金について、それら基金への投資に伴うリスク情報の開示を強化する。
  4. 投資に関する指標・指標作成者に対するデューデリジェンスの拡大:登録基金に対して、投資に関する指標を選定する前に、それら指標・指標作成者に対するデューデリジェンスを要求する。
  5. 投資アドバイザーへのガイダンス:投資アドバイザー向けに、NCJ企業への投資を検討するに際してのガイダンスを発行する。

スティーブン・ムニューシン財務長官は「報告書における提案は投資家保護を強化し、米証券取引所に上場する全企業の競争条件を平等にするものだ。米国は資金調達において世界を牽引する市場であり、投資家の信頼を支える中核的な原則につき譲歩はしない」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

米証券取引所のうち既にナスダック(NASDAQ)は2020年5月に、上場企業に対する審査強化案を発表している。米上院も同月、企業がPCAOBの監査に3年連続で従わない場合、米証券取引所への上場を禁止する法案(S.945)を全会一致で可決しているが、下院での審議は進んでいないもようだ。

(磯部真一)

(米国、中国)

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