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米株式市場での中国リスクについて検証を開始、60日以内に対応策を大統領に報告

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年06月08日

トランプ米国大統領は6月4日、米国の株式市場に上場する中国企業が及ぼす投資家へのリスクを協議するための作業部会を設置する覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。作業部会は今後60日以内に、米証券取引法の規定に従わない中国企業などから投資家を保護するための方策を大統領に報告する。

大統領は今回の署名以前に、中国政府による香港への国家安全法の導入検討を受けて、作業部会の設置を明言していた(2020年6月1日記事参照)。覚書では、中国企業が米金融市場で収益を上げる一方で、中国政府の指示により、米国証券取引所に上場する全ての企業が従うべき投資家保護ルールなどを順守していないと指摘。具体的には、中国に事業の相当部分を置く企業について、中国の規制当局の事前承認がない限り、米公開会社会計監視委員会(PCAOB)への監査調書の提出ができない点を懸念している。PCAOBへの調書提出は、全ての米上場企業に義務付けられており、この義務が履行されていない状況では投資家が企業の財務報告を信用できないと問題視している。

作業部会には、スティーブン・ムニューシン財務長官やジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長、ジェイ・クレイトン証券取引委員会(SEC)委員長、ヒース・ターバート商品先物取引委員会(CFTC)委員長らが名を連ねる。作業部会は上述の投資家へのリスクについて協議を行い、今後60日以内に大統領への報告を行う。報告には、中国政府による監査法人への妨害に対する措置に関する提言が盛り込まれる予定。覚書では、対抗措置の例として、SECやPCAOBによる調査や取り締まりの他、関係省庁による新しい上場規制やセーフガード措置などの政策立案を提示している。

米国では、新興企業向け株式市場のナスダック(NASDAQ)が今年5月に、中国に本社を置くラッキン・コーヒーに対して、同社の不正会計や情報不開示を理由に上場廃止を通達するなど、中国企業に対する不信感が高まっている。その後、NASDAQはSECに対し、米金融当局による情報アクセスを制限する法制度が適用される地域で、事業が主に実施されている企業への審査厳格化などを含む規則変更案を提出している(注)。マイク・ポンぺオ国務長官は6月4日、この取り組みを評価した上で、米国や世界の証券取引所がモデルにすべきとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。米議会でも5月、中国企業の上場を制限する法案が上院で可決しているが、現時点で成立には至っていない。

(注)規則変更案はSECが6月8日に公示予定の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認が可能。規則の変更は官報公示日から45日以内、もしくはSECが必要と認める場合は90日以内に施行されるとしている。

(藪恭兵)

(米国、中国)

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