セブン&アイ・ホールディングス、米スピードウェイを210億ドルで買収

(米国)

ニューヨーク発

2020年08月17日

セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)は8月3日、同社の米国子会社セブン-イレブン(本社:テキサス州)を通じて、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムの傘下「スピードウェイ」ブランドで運営されるコンビニエンスストア事業および燃料小売り事業を持つ複数の事業会社の株式その他の持ち分を取得することを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。買収額は210億ドルで、取引完了は2021年第1四半期(1~3月)になる見込み。

セブン&アイは日本国内のコンビニ市場が飽和する中で、成長戦略の柱として海外、特に北米市場でのコンビニ事業を掲げている。傘下のセブン-イレブンは全米で約9,800店舗を運営しており、業界で最大手となっている。米国で業界第3位のスピードウェイ(約3,900店舗、2019年末時点)を買収することで、セブン-イレブンの米国内店舗は約1万4,000店舗と大きく拡大し、業界第2位のアリマンタシオン・クシュタール(約5,900店舗、2019年末時点)を店舗数で倍以上引き離すことになる。

同社の発表によると、今回の買収について、店舗ネットワークの戦略的拡充、財務上の効果、ESG(注)分野におけるリーダーシップの発揮の3つを目標に挙げている。まず、米国内の店舗ネットワークを人口の多い上位50都市部のうち47の市場に拡充することで、業界リーダーとしてのプレゼンスを高める。財務上の効果では、今回の取引によって買収後約3年で4億7,500万~5億7,500万ドル相当の統合効果を生み出すことを見込む。さらに、北米市場で拡大したネットワークとプレゼンスを活用し、同社が重視するESG分野の取り組みを強化する。新たに傘下に入る店舗も含め、二酸化炭素排出量の削減と、環境配慮型パッケージおよび持続可能な食品供給の活用、プラスチック対策の推進について、2027年までの新たな達成目標を設定し、長期的な企業価値を高めていく。

新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に続く中、今回の買収は米国で2020年初来で最大規模となる。同社の井阪隆一社長は「新型コロナは永遠に続くわけではない。5年後、10年後の成長を考慮した上で、この資産がわれわれにとって成長の源泉になる」との見通しを述べた(「ロイター通信」8月3日)。

(注)ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったもの。これら3つの取り組みに配慮して事業活動を推進しているかどうかは、企業評価を測る1つの指標として使われている。

(樫葉さくら)

(米国)

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