スイス、越境通勤者のテレワークに対する納税特例を継続
(スイス、フランス)
ジュネーブ発
2020年08月27日
スイス連邦政府は8月17日、フランスと越境通勤者の社会保険納付に関する2国間協定の期限を、8月末から12月末まで延長することに合意したと発表した。ドイツ、イタリア、オーストリア各国とスイス間でも、同様の措置がとられている。
新型コロウイルスの感染防止対策として、テレワークが導入されているが、周辺国からの越境通勤者が多いスイスでは、テレワークに切り替えた場合の社会保険や課税の取り扱いが問題となっていた。これは、社会保険と税金の納付は「勤務場所」の属する国で行うことが定められているためだ。
フランスとスイスは、テレワークも通常勤務と同じとみなして社会保険納付などを行えるよう、二重課税防止協定に基づく2国間協定を、5月13日に締結していた。有効期限は、署名時点からさかのぼって3月14日から5月末までとされ、その後、ひと月単位で更新可能という規定を設けていたが、2国間協定が8月末で終了することがジュネーブ州政府から7月16日に発表
されていた。また、その背景として、フランスが財政難の中で社会保険などの収入増を図るため8月末で終了したい意向が強いのでは、という報道も複数みられた。
これに関し、現状、全ての日数をオフィス勤務とすることは現実的ではないことから、越境労働者団体のGTEは「総労働時間のうち25%以上がフランス国内であれば、フランスで社会保険に加入する必要が出て来るため、2国間協定がもし失効した場合、9月1日以降、越境通勤者は実質的に総労働時間の25%以下しかテレワークができなくなる」と懸念を示していた。また、スイスは、同様の2国間協定をドイツ(3月11日から7月末まで、その後は毎月更新)やイタリア
(2月24日から6月末まで、その後は毎月更新)とも締結しており、7月16日時点で既に各協定を12月末まで継続することを決定していたため、フランスとこれらの国との差が問題となっていた。
今回、フランスとスイスの2国間協定も12月末まで継続することが決定されたことにより、問題が払拭(ふっしょく)され、両国間の越境通勤者のテレワークの継続が可能となった。
(和田恭)
(スイス、フランス)
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