大手通信会社、モバイルマネーサービスを拡大

(ラオス)

ビエンチャン発

2020年08月19日

ラオスの通信最大手スターテレコムの子会社スターフィンテックは8月15日、モバイルアプリのEウォレットサービスU-Moneyの開始から1年を経て、1万店舗の決済ネットワークの構築と、10万人のユーザーを獲得したと発表した。同サービスは各大手銀行の口座との送金を可能とするとともに、契約店舗で少額の現金の出し入れも可能となっている。

ラオスは近年、電子マネーとして銀行各社がQRコード決済サービスの普及を進めてきた(2019年4月25日記事参照)。銀行系QRコード決済との違いは、銀行口座の開設が不要であることに加え、携帯電話ネットワーク経由でシステムを利用することが可能なため、ネット速度の遅い遠隔地のユーザーにも利便性が高いことだという。この利点を活用し、既に通信や銀行サービスへのアクセスの悪い山岳地域のルアンパバン県チョムペット郡などの村役場の給与支払いにも活用されている。また大手企業の給与支払いへの試験導入も始まったという。

また、7月には通信大手ラオテレコムの子会社ラオモバイルマネーが同様のウォレットサービスとして、モバイルアプリM-Moneyをスタートした。ラオスでは568万人(Hootsuite, Degital2020 Laos)が携帯電話を利用しているとされる。スターテレコムとラオテレコムはそれぞれ5割、4割程度の高い市場シェアを有するとみられている。Eウォレットの利用は各社のシムカードの利用が必須であり、顧客の囲い込みにもなる。「コロナ禍」において一般市民の間にもフードデリバリーやECサイトのニーズが増加しており、手軽で安心な決済インフラが求められている。また、現地通貨キープは最高紙幣が10万キープ(約1,200円、1キープ=約0.012円)で非常にかさばり、釣り銭の用意の手間や、破損や偽造紙幣問題も抱えている。今後、電子マネーの普及を契機にさまざまなビジネス機会の創出が期待される。

(山田健一郎)

(ラオス)

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