中国の上半期の対米輸出、前年同期比11.1%減、主要品目が軒並み減少、医療関係は増加

(中国、米国)

中国北アジア課

2020年08月26日

中国の2020年上半期の米国への輸出額は、ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基にとりまとめたところ、前年同期比11.1%減の1,772億9,348万ドルとなった(添付資料図参照)。減少幅は2019年下半期から5.1ポイント縮小したものの、2019年上半期から3期連続で減少した。米国は中国にとって引き続き最大の輸出先だが、中国の輸出額に占める米国のシェアは、前期から0.4ポイント減の16.1%と3期連続で低下が続く。

輸出品目の上位15品目(HSコード6桁ベース)をみると、一定額未満の小口貨物を除き全て追加関税措置の対象となっている(添付資料表参照)。ただし、リスト4Bは未発動で、実際に追加関税措置が課されているのは9品目となっている(注)。9品目のうち、落ち込みが大きいのはデータ受信・変換・送信・再生機械(以下、データ受信機械、前年同期比18.3%減)、機械部品・付属品(23.6%減)などだった。これらは米国の輸入額に占める中国のシェアが急速に低下しており、2017年上半期のシェアと比較して、データ受信機械は11.9ポイント減の33.5%、機械部品はシェア7割から3割へと急減した。米国の輸入統計を見ると、データ受信機械は台湾とベトナム、機械部品は韓国とベトナムの伸びが大きい。

また、未発動のリスト4Bの対象品目についても、ノートPC、スマートフォン、玩具など主要品目の伸びは軒並み減少した。ノートPC、玩具などはいずれも北東アジアや東南アジアの国・地域からの輸入が増えており、中国からシフトできる製品は切り替えが進んでいる様子が見て取れる。

一方、増加となった品目の多くは、新型コロナウイルスへの対応に必要な医療用品の増加が主な要因だった。追加関税措置の対象であっても、医療用品は多くが適用除外品目になっている。前年同期比約8倍と急増した紡織用繊維のその他の製品のうち、医療用サージカルドレープやアイスバック、個人識別用のリストバンドなどが大きく増えた。また、7.7倍増となったフェルトおよび不織布の織物類から成る衣類では、使い捨て医療用ガウンの伸びが大きかった。7.9%増のプラスチック製品では、実験器具や医療目的で使用されるプラスチック製品〔患部保護シート、粉末薬の梱包(こんぽう)袋〕が増えた。米国と中国は、延期されていた第1段階の合意の履行状況を点検する協議を、8月25日に電話で行い、合意の実行について建設的な協議が行われたと報じられている。一方、米中関係の先行きは依然として不透明であり、米中貿易摩擦を受けた追加関税回避の動き(該当品目の中国以外の国・地域からの米国への輸出増)は今後も続くものと思われる。

(注)米国は、中国との第1段階の合意に基づき、2019年12月15日に発動予定だった対中追加関税リスト4B発動の見送ったほか、2019年9月1日に発動した対中追加関税リスト4Aの追加関税率を2020年2月14日から15%から7.5%へ引き下げた。このほか、適用除外リストが相次いで発表されている。

(江田真由美)

(中国、米国)

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