第2四半期のGDP成長率はマイナス9.0%、個人消費の低迷大きく

(香港)

香港発

2020年08月04日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は7月29日、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率の推定値が前年同期比でマイナス9.0%だったと発表した(添付資料図参照)。1974年の統計開始以来で最低だった2020年第1四半期(1~3月)(マイナス9.1%(確定値))からほぼ横ばいで、2019年第3四半期以降4四半期連続のマイナス成長となった。

GDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は前期(10.6%減)から3.9ポイント下落し、前年同期比14.5%減と統計開始以降最大の下げ幅となった。新型コロナウイルスの感染拡大とこれに伴う各種防疫措置の実施により、市民の消費活動に著しい制約が課されたことが影響した。加えて、4~6月の失業率が6.2%と過去15年で最悪の水準となっており、雇用情勢も消費者心理に冷や水を浴びせた(2020年6月22日記事参照)。

政府消費支出は9.6%増と、前期(8.8%増)から0.8ポイント上昇した。固定資本形成は20.6%減と、前期(15.8%減)から4.8ポイント下落した。

貿易は、財輸出は2.1%減と、前期(9.7%減)から7.6ポイント上昇した。中国本土における生産活動がほぼ全面的に再開したことから、前期比で減少幅は大幅に縮小した。財輸入も6.8%減と、前期(11.1%減)から4.3ポイント上昇した。サービス輸出は、観光業の営業停止の影響により46.6%減と、前期(37.4%減)比で9.2ポイント下落した。サービス輸入も43.5%減と、前期(24.5%減)より19.0ポイント下落した。

年後半の景気回復に期待

香港政府報道官は7月29日のプレスリリースにおいて、「短期的には世界的な新型コロナウイルス感染拡大の長期化、米中対立の激化、そして香港域内での新型コロナウイルス感染の再拡大などといった不確定要素が存在する」と発言した。その上で、「域内での新型コロナウイルスの封じ込めが成功し、外部環境が改善に向かえば2020年後半には香港経済は緩やかな景気回復に向かう」と期待感を示した。

香港政府は8月14日に2020年のGDP見込み値と修正後のGDP成長率を公表する。

(吉田和仁)

(香港)

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