2019年の日本の対ジブチ輸出は48.7%増、民生用の鉄鋼が牽引

(ジブチ、日本、エチオピア)

アディスアベバ発

2020年08月19日

日本の財務省貿易統計によれば、日本の2019年の対ジブチ貿易(通関ベース)は、輸出が5,186万ドル(前年比48.7%増)となった。輸出は2020年に入っても増勢で、上半期(1~6月)は3,049万ドル(前年同期比60.7%増)を記録した。輸入は2019年が5,617ドル(49.8%減)、2020年上半期が82万ドル(146倍)にとどまった(添付資料表1、2参照)。

ジブチには、自衛隊が海賊対処行動支援のために拠点を設けている。日本からの輸出は、統計上も自衛隊拠点への補給部品とみられる品目が多くみられるのが特徴的だ。しかし、2019年は、民生用の鉄鋼(薄物鋼板)が輸出された(全増)ことが大きな増加要因となった。2020年に入ってからは、鉄鋼に加えて、貨物自動車(5トン超20トン以下)が大きく伸びた。貨物自動車は2019年上半期には6台にすぎなかったが、2020年上半期だけで620台となった。

ジブチは、隣国エチオピアの海港の役割を担っており、ジブチのフリーゾーンは、エチオピア向けの再輸出拠点にもなる。諸外国からのエチオピアへの海上貨物(一般商業貨物)は、エチオピア船舶物流サービス公社を通じた輸出が必須だが、ジブチに輸入者がいてジブチ向け貨物とすれば、自由にフォワーダーを選べるなど柔軟性が増すため、輸送費削減の余地がある(2019年12月24日記事参照)。ジブチからエチオピアへの陸送も自由に会社を選べる。また、ジブチでは、決済手段が柔軟なため、信用状以外も採用でき、エチオピアのような外貨不足にも悩まされていない。エチオピアの顧客が、ジブチ向けに信用状を開設するには他国向け同様に時間はかかるが、いったん信用状が開ければ、商品はジブチから数日でエチオピアまで配送できる。

日本のジブチからの輸入は、2019年に記録されているのはデータ処理機の部分品のみで、2020年上半期は観賞魚が4,000ドル近くあるほかは、再輸入品に限られる。

ジブチの新型コロナウイルス感染者数累計は5,369人(2020年8月17日時点、米ジョンズ・ホプキンス大学)。7月17日には、空港閉鎖を解いて、ヒトの往来が再開している(出入国時の措置は在ジブチ日本大使館PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照)。

(関隆夫)

(ジブチ、日本、エチオピア)

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