ヘン副首相、総額80億Sドルの追加経済支援を発表

(シンガポール)

シンガポール発

2020年08月24日

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は8月17日、総額80億シンガポール・ドル(約6,160億円、Sドル、1Sドル=約77円)規模の新型コロナウイルスに伴う追加経済支援を明らかにした。今回の発表は、2020年2~5月に4回にわたって導入された合計929億Sドルの経済支援パッケージ(2020年5月28日記事参照)に盛り込まれた支援スキームの多くが、間もなく期限を迎えることを受けて、今後の追加支援方針を示したもの。財源には、過去の準備金を取り崩すことなく、新型コロナウイルスの影響により、事業が遅れている建設工事などの予算を再配分する。

今回の追加支援は、(1)雇用の維持支援の継続と新規雇用の創出、(2)最も打撃を受けた部門への追加支援、(3)新型コロナウイルス終息後の世界に向けた新たな成長機会の創出、の3つを柱としている。まず、雇用支援として、国民(永住権者を含む)の月給の一部(25~75%)を政府が支援する「雇用サポート・スキーム(JSS)」の助成対象期限を、2020年8月の月給分から2021年3月分まで延長する。また、助成額について、新型コロナウイルスで最も打撃を受けた航空、観光、建設部門は月給の50%を支援する。ただし、建設は2020年11月から月給の30%に引き下げる。芸術、飲食、小売り、陸上輸送、造船および石油採掘用リグ製造などは月給の30%、その他の部門について10%を助成する。ただし、好調な部門については2020年12月末までの支援。同スキームでは、導入初期から厳しい影響を受けている業界ほど、手厚く支援している。

また、ヘン副首相は、ヘルスケア、金融など「新型コロナ禍」でも成長している分野での雇用創出支援として、10億Sドル規模の「雇用促進インセンティブ(JGI)」を導入すると発表した。JGIは、企業が国民を新規採用した場合、その月給の最大25%を1年にわたり助成するというもの。40歳以上の中堅どころの職歴の国民については、月給の最大50%を支援する。人材省は、8月末までにJGIの詳細を発表する予定。

さらに、新型コロナウイルスで特に打撃を受けた部門の追加支援として、先に導入した航空部門サポート・パッケージに1億8,700万Sドルを追加投入する(2021年3月まで、注)。また、国内観光振興策として、国民が利用できる総額3億2,000万Sドルの国内観光券「シンガポール再発見バウチャー」を配布する。同副首相の発表の詳細は、財務省の2020年度予算案に関するウェブサイトを参照。

(注)航空部門サポート・パッケージに盛り込まれた追加支援は、航空会社への着陸料10%の払い戻しや空港のオフィスなどの賃料50%払い戻しなどのほか、空港地上支援会社へのオフィスなどの50%払い戻しなどからなる。詳細は運輸省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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