スタートアップとのオープンイノベーション推進、製造分野にも関心、ジェトロがピッチイベント開催
(ドイツ)
欧州ロシアCIS課
2020年08月11日
ジェトロは7月30日、ドイツのスタートアップと日本企業の連携の機会を提供するためのオンラインでのピッチ(注)イベント「Pitch Night: German Startups Meet Japan」を開催、ドイツ企業8社がピッチを行った。
ジェトロとイベントを共催したドイツ経済・エネルギー省傘下の支援機関ジャーマン・アクセラレーターは、ドイツのスタートアップの海外展開を支援しており、各種専門家からのアドバイスやネットワーキング、ビジネスマッチングの機会を提供している。今回ピッチを行ったドイツ企業は、特にアジア市場を目指すスタートアップに対して商談などの機会を提供するジャーマン・アクセラレーターの「ネクスト・ステップ」プログラムに参加しており、今回のイベントはその一環として、この8社とドイツのスタートアップとの連携に関心を持つ日本企業をジェトロがつなぐかたちで実施された。
日本側の参加者は投資先を探す商社のほか、金融、情報通信分野の参加が目立った。また、電気・電子機器、機械分野からの参加も多く、自社の生産・販売活動の拡大と効率化に資する技術やビジネスモデルを求めていた。ITやフィンテックなどの分野ではなく、ドイツの強みがある製造現場に近い技術に出会えたことを評価する声が聞かれた。また、シリコンバレーをはじめとした米国、深セン、ベンガルールなどのアジアに比べて情報が少ないドイツのスタートアップの状況が分かったとの評価もあった。
参加したドイツのスタートアップの中では、重量があるものを高速で長距離運搬できるドローンを開発するウィングコプターや、都市内に可動式小型物流拠点を設置し、そこから電動自転車で配達を行う物流ソリューションを提供するライトルが特に日本側からの連携要望を集めた。また、データ化されていない情報をデータ化・分析し、製造現場での予見性を高めるソリューションを提供するレクサテクスターも日本の製造業に携わる参加者から多くの関心を集めていた。
ドイツスタートアップ協会日本代表のティム・ミクシェ氏はイベントの講演の中で、ドイツの特徴として、以下の点を挙げた。
- これまで消費者をターゲットとしたスタートアップ集積地として知られていたベルリンがBtoB分野にも集積を広げていること
- 技術の源泉としては引き続きミュンヘン大学、ミュンヘン工科大学を有するミュンヘンが優位にあること
- 投資家が比較的少ない状況のため、日本を含めた外国企業にとって有望な投資先であること
(注)短時間で簡潔に行うプレゼンテーションのこと。
(福井崇泰)
(ドイツ)
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